震災8年 中台韓、長引く食品輸入規制 対日関係や内政も絡む
- 国際
- 2019年3月11日
東日本大震災から8年となる今も、東京電力福島第1原発事故に伴う日本の農水産物・食品に対する輸入規制が、有力市場のアジアを中心に24カ国・地域で続く。中国は日中関係改善の流れを受けて規制緩和の動きを見せる一方、韓国は厳しい姿勢を崩さない。台湾の蔡英文政権は、野党が主導した住民投票の結果に手を縛られている。輸入規制解除への道は、対日関係や内政も絡んで平坦(へいたん)でない。
中国政府は福島第1原発の事故後、福島や宮城、茨城、東京など10都県の全ての食品と飼料を対象にした輸入停止措置を発動した。中国側は日本の禁輸解除要請に長らく取り合わなかったが、昨年11月末には新潟県産の米に限って輸入を再開した。
昨年5月に訪日した李克強首相は安倍晋三首相との会談で、禁輸措置を議論する共同の専門家グループを設立することで一致。10月には習近平国家主席が安倍首相との会談で「科学的評価に基づき緩和を積極的に考えたい」と前向きな姿勢を示していた。
ただ、中国では「食の安全」をめぐる市民の不満が高まっており、批判を恐れる政府は全面的な禁輸解除には慎重だ。
韓国は原発事故後、放射性物質の漏出を理由に福島近隣の農水産物の輸入を禁止。平成25年からは福島、宮城、岩手、青森、群馬、栃木、茨城、千葉の8県からの全水産物を輸入禁止とした。
日本政府は撤回を求め続けたが、韓国側が受け入れないため平成27年に世界貿易機関(WTO)に提訴した。WTOは昨年2月、「韓国政府の日本産水産物輸入規制措置は差別的で必要以上に(貿易が)制限されている」などと判断し、「WTO協定違反」との判定を出して是正を勧告。韓国政府は判定に不服として、昨年4月に上訴した。
台湾では、福島など5県産の食品が禁輸とされている。平成28年5月発足の蔡英文政権は福島を除いた茨城、栃木、群馬、千葉の4県産食品の輸入解禁を目指したが、反対派の政権批判に利用されて公聴会が混乱し、棚上げとなった。
昨年11月には、野党の中国国民党が禁輸継続を求める住民投票を主導し、賛成多数の結果が出た。住民投票には法的拘束力があり、投票後2年間は輸入を解禁できない。蔡政権は「日台双方が受け入れ可能な措置を模索する」としている。
一言コメント
中台韓以外での輸出努力をした方がいい。
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