福岡知事選 現職陣営に自民元議員の影 「当選しても言いなり」
- 政治・経済
- 2019年3月11日
任期満了に伴う福岡県知事選は、4月7日の投開票まで1カ月を切った。自民党が推薦を決めた元厚生労働官僚の新人、武内和久氏(47)に対し、党内からは3選を目指す小川洋知事(69)を支援する「造反」が続出する。その小川陣営は「県民党」を掲げるが、実態は自民党、特に山崎拓氏ら元議員の存在感が高まっている。(九州総局 小沢慶太、中村雅和)
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小川、武内両陣営は9日夕、北九州市で同時刻にそれぞれ、大規模な集会を開いた。
小川陣営は、リーガロイヤルホテル小倉(小倉北区)に、約2500人を集めた。小川氏は「これまでやってきた取り組みを前進させ、結果を出していく」と支持を呼びかけた。
集会では、二階派の武田良太元防衛副大臣(福岡11区)が「一部の感情や思惑で知事をすげ替えようとするなんて言語道断だ」と激しい言葉で批判した。念頭にあるのは、武内氏擁立を主導した麻生太郎副総理兼財務相(福岡8区)だ。
そこから直線距離で500メートルも離れていない北九州国際会議場。武内氏が「先頭に立って、挑戦する福岡県を取り戻す」と、約1千人の支持者を前に声を張り上げた。「ポスト安倍」候補の一人で、麻生派の河野太郎外相も駆けつけ、「トップが代われば、福岡県も変えられる」と訴えた。
今回の知事選は、麻生派と、麻生氏の影響力低下を図る勢力による政界の覇権争いの様相を呈す。
■「県民党」の実態
小川氏サイドには、武田氏ら県内二階派国会議員3人のほか、石原派衆院議員の鬼木誠氏(福岡2区)、岸田派の衆院議員、古賀篤(福岡3区)も付く。
鬼木氏と古賀氏はそれぞれ、山崎拓元副総裁と太田誠一元農林水産相の地盤を引き継いだ。小川氏支持の決断には、2人の自民OB議員の意向が、強く働いたとされる。
小川氏は自民推薦が得られなくなった後、各党に出していた推薦願を全て取り下げた。「県民党」を称し、小川氏を支える県民の会もできた。この会には古賀誠元自民党幹事長も、名を連ねる。
小川陣営の実態は、自民党のOBや現職議員、従来の支援団体が、中心になっている。事務所を取り仕切るのも、山崎氏の側近だ。
小川氏サイドは「知事は一部の人間が勝手に決めるものではない」と、麻生氏を念頭に批判する。だがこの言葉は、山崎氏らが背後に控える小川陣営にも当てはまる。
自民福岡県連幹部は「仮に小川氏が当選しても、山崎氏らの言いなりの県政になるだけではないか」と批判した。
■切り崩し
武内陣営は、山崎氏らによる切り崩しに苦心する。
だが北九州では、岸田派の山本幸三元地方創生担当相(福岡10区)が、武内氏の同地区選対本部長に就いた。
岸田派は、古賀氏の影響が色濃く残る。古賀氏に配慮してか、山本氏はこれまで、態度を明確にしなかった。
しかし、北九州市議会の重鎮、片山尹氏らの突き上げを受け、武内支援に回った。自民関係者は「地元の県議、市議に逆らって小川氏を支持したら、山本氏は自分の選挙を戦えない」と解説した。
武内陣営が9日、集会に先立って実施した北九州市の事務所開きには、釣具販売チェーン、タカミヤの高宮俊諦会長や、安川電機特別顧問の利島康司北九州商工会議所会頭ら、過去の選挙で小川氏を支援した経済界トップも、姿を見せた。
高宮氏は北九州地区後援会長に就任。利島氏も会場で、周囲に「(現県政を)何とかしないといけない」と漏らした。
知事選への立候補を表明している共産党福岡県委員会副委員長の新人、篠田清氏(70)はこの日、福岡市内で事務所開きをし、支持を訴えた。
一言コメント
単なる知事選とは別の様相を呈してきた。
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