非常勤職員の労災請求、全自治体が対応明記へ 総務省調査で明らかに
- 公務員
- 2019年3月8日
非常勤であることを理由に職員本人や遺族からの公務災害(労災)の認定請求に応じない自治体があった問題で、非常勤にも請求を認めるよう求めた昨年7月の総務省通知を受け、ほぼ全ての自治体が今年度中に条例規則を改正して本人や遺族の請求を認めると明記することになった。同省が昨年10~11月に全国の自治体を対象に実施した調査で明らかになった。
総務省が通知を出したのは、自殺した北九州市の非常勤職員の遺族による手紙での訴えがきっかけだった。労災の請求権については常勤と非常勤の格差が是正されることになり、遺族は「手紙をきっかけに速いスピードで全国に広がってうれしい」と話した。
総務省によると、都道府県や政令市、市区町村計875自治体のうち、通知以前から非常勤職員の労災請求を認める規則があったのは11自治体だった。通知には法的拘束力はないが、昨年9月末までに328自治体が条例規則を改正し、509自治体が今年度中に改正予定と回答。合計すると全体の約97%に上り、残る自治体も2019年度以降に改正予定などと答えた。
以前から運用で本人や遺族の請求を認めていた自治体もかなりあったとみられるが、規則に明記されることになり、同省の担当者は「労働者に寄り添う制度になるように、という通知の趣旨を理解してもらえたと受け止めている」と述べた。
通知のきっかけは、15年に自殺した北九州市の非常勤職員、森下佳奈さん(当時27歳)の労災認定請求が認められなかった母真由美さん(56)が昨年7月、野田聖子総務相(当時)に問題を訴える手紙を送ったことだった。真由美さんは「娘が生きていれば、全国の条例が変わって、職場が職員の健康や命を大事にしてくれるようになることを一番喜ぶと思う」と語った。
◇自治体職員の公務災害(労災)格差
常勤職員は無条件で、非常勤職員でもごみ収集などの現業部門は労災認定を請求できる。一方、事務部門の非常勤職員については各自治体が条例で定めることとなっているが、多くの自治体は明記してこなかった。このため「請求できない」として門前払いする自治体があり、改善を求める声が上がっていた。
一言コメント
門前払いなどもってのほかだ。
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