「米国の魂買った」平成の日本勢=NY不動産で再び存在感
- 企業・経済
- 2019年3月4日
【ニューヨーク時事】日本がバブル景気に沸いた平成初期、米国経済を象徴するニューヨークの摩天楼を日本勢が相次いで買収した。
その後、長い不況で鳴りを潜めていた日本企業。平成が終わろうとする今、過去とは一線を画した戦略で大型不動産に投資し、再び存在感を示している。
「米国の魂を買った」。バブルマネーで次々とビルを買う日本勢に、地元では当時こんな声が上がった。
マンハッタンにそびえる高層ビル群、ロックフェラーセンター。冬の巨大なクリスマスツリーやスケートリンクで知られる観光名所だが、三菱地所は1990年にこのビル群を傘下に収めた。
91年には超高層ビル、エンパイア・ステート・ビルをホテルニュージャパン元社長の故横井英樹氏が購入した。
しかし、95年にロックフェラーセンターの管理会社が経営破綻し、三菱地所はビル群の大半を手放した。エンパイアは当時不動産王として名をはせたトランプ米大統領と横井氏の遺族による所有を経て、2002年に別人の手に渡った。
10年代に入り、大型買収の主役は中国資本に移った。一段と影の薄まった日本勢だが、近年、息を吹き返している。
東急不動産は、マンハッタン中心部で、19年完成予定の地上47階建てオフィスビル建設に参画。総投資額は10億ドル(約1120億円)超で、「この一帯では約50年ぶりの新築ビル」(同社)といわれる。三井不動産はマンハッタン南西部で18年10月、約1500億円を投じたオフィスビルを完成させた。
三菱地所は14年から、クイーンズ区で店舗や住宅からなる大型複合施設の開発に携わっている。「先進国にもかかわらず人口増が見込まれる」と、米国市場に期待する。
バブル期の日本勢は、有り余る資金で米国のビルを次々買収したが、近年は「計画段階から関わったり、現地企業と提携したりする案件が増えた」(不動産大手)という。より長期的な戦略に基づく投資へと様変わりしている。
「世界最高級のオフィス街」(東急不動産)のニューヨークで、日本勢の動きに注目が集まる。
一言コメント
日本は市場が頭打ちになるからじゃないの?
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