金正恩氏に国内で圧力も、米朝サミット決裂で対話路線に疑問符
- 国際
- 2019年3月2日
平壌に戻る特別列車に揺られながら北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、トランプ米大統領との会談では、どこで何を誤ったのかと思い返すに違いない。どうすれば昨年稼いだ得点を失わずに済むのか、考えを巡らせるだろう。
交渉の場から立ち去るというトランプ大統領の予想外の行動で、北朝鮮経済を苦しめる国際制裁を対話を通じて緩和に導く金委員長の戦略に、疑問符が突きつけられ、国内で圧力が強まる恐れがある。
韓国・峨山政策研究院の安保統一センター長、申範澈氏は「金委員長も今回のサミットに大きく賭けていた」と指摘。「同氏の国内政治リスクも高い」と述べた。
米朝首脳会談の決裂は、北朝鮮が迫られている根本的な選択肢を浮き彫りにした。米国と交渉するか、交渉の立場を強めるため再び核の危機をつくり出すかだ。金委員長がどちらを選ぶか予想は難しいが、強硬路線を進めば過去1年の成果が水泡に帰し、外交的な孤立へと逆戻りする危険をはらむ。
首脳会談で被った傷を最小限にとどめようとする金委員長の取り組みは、すでに国営メディアの報道に表れている。1日の朝鮮中央通信(KCNA)の報道では米国に敵意を示すこともなく、金委員長がトランプ大統領と再び会談すると約束したことを明らかにし、両者が「緊張緩和と平和維持」に向けた取り組みを維持する「共通の理解」を確認したと伝えた。
ただ、米主導の国際制裁で北朝鮮経済は過去20年で最も深刻なリセッション(景気後退)に陥っており、金委員長には時間との闘いもある。厳しい経済状態が続けば、国内の対米強硬派が盛り返す可能性がある。脱北者が設立したソウルの調査団体「北朝鮮戦略センター」が先週公表したリポートによると、金委員長は昨年、米国との対話に反対する政治エリートら50-70人に対し、地位はく奪や投獄、処刑などの処分を下した。
原題:Kim Jong Un Faces New Pressure at Home After Trump Summit Shock(抜粋)
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