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拉致被害家族ら、落胆と期待 米朝会談で議題化「誠意感じた」


 北朝鮮の完全非核化や日本人拉致問題に進展はなかったのか。8カ月ぶりに開かれた2回目の米朝首脳会談は、合意に至らなかった。進展を信じて会談の行方を見守った拉致被害者の家族らは、落胆とそれでも期待する複雑な胸中をのぞかせた。

「焦って妥協してほしくなかったので、前のめりにならなくて良かった」。トランプ大統領の記者会見後、川崎市の自宅マンションで取材に応じた拉致被害者の横田めぐみさん(行方不明時13歳)の母早紀江さん(83)は、非核化を巡り合意に至らなかったことを冷静に受け止めた。会談で拉致問題が議題に上ったことについては「きちんと伝えていただき、(トランプ大統領の)誠意を感じありがたい」と述べ、「拉致問題を解決しなきゃいけないのは日本。安倍さんにも頑張ってほしい」と話し、事態打開に向けた日朝首脳会談の実現を求めた。

入院中の父滋さん(86)とは会談前に「どうなるか分からないね」と話した。早紀江さんは「拉致を信じてもらえなかった時代から40年過ぎても闘っている。その道のりを思えば世界中の人が見ている中で拉致がはっきりと認識されるようになった。あとはもう祈るしかない」と語った。

拉致被害者、田口八重子さん(同22歳)の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(80)は米朝会談について「2回目だから具体的な交渉があって結果が出ると想像していた。我々の熱は冷めないが(会談が)3、4回目となると熱が冷めてしまう」と懸念を示した。一方で「安倍晋三首相がトランプ大統領からどのようなコメントを得られるか期待している。どういう状態でも(解決を)諦めない。もう一度政府と話したい」と語った。

神戸市出身の拉致被害者、有本恵子さん(同23歳)の父明弘さん(90)はトランプ大統領の会見のテレビ中継を見た後に「(会談に)期待していたけれど、核放棄は難しい」と声を落とした。「核を放棄させるより、拉致被害者を取り返す方が早いと思う。安倍首相が『返せ』と迫るしかないのではないか」と話した。

1978年に鹿児島県旧吹上町(現日置市)で増元るみ子さん(同24歳)と共に拉致された市川修一さん(同23歳)の兄健一さん(73)=同県鹿屋市=は、今回も拉致問題の進展がなかったことに「いつまで待てばいいのか」と声を絞り出し、涙をにじませた。

拉致被害者で2002年に帰国した蓮池薫さん(61)は新潟県柏崎市を通じ、会談が合意に至らなかったことについて「意外であり残念」としたうえで、「下手に譲歩をした合意よりは真の非核化、さらには拉致問題の進展につながると思う。議題に拉致問題が上がったことは幸い」との談話を出した。

毎日新聞

 

一言コメント
被害者家族にはもう時間がない。


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