GW10連休、企業に警戒感 ATMの現金不足や小売店の人手確保、深刻化のおそれ
- 政治・経済
- 2019年2月27日
ゴールデンウイーク(GW)の10連休まであと2カ月に迫り、企業の警戒感が強まってきた。一斉休業でお金の動きが滞ればATM(現金自動預払機)の現金や釣り銭が不足する恐れがある。小売店ではアルバイト従業員が相次いで休暇を取り、人手不足が一層深刻化しそうだ。市場の混乱やサイバー攻撃の懸念もあり、企業は対応に追われている。
◆万全の準備呼びかけ
「過去最長の連休だ。限られたスケジュールで万全の準備を行う必要がある」
全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)はこう指摘する。
連休中は多くの銀行が窓口を閉める。ATMは通常通り稼働するが、連休中は入金より出金が多いため現金不足で停止する恐れがあり、警備会社と連携して補充を徹底する。キャッシュカードの再発行や住宅ローンの審査も通常より時間がかかるため、休み前に取引を済ませるよう呼びかける。
小売業界では、行楽需要で弁当などの売れ行きが伸びる書き入れ時だ。銀行の窓口が閉まる前に、釣り銭を確保するなど事前準備が欠かせない。また、学生などアルバイト従業員の休暇希望が続出することが予想され、コンビニエンスストア大手のローソンでは「人手確保が難しい場合は、加盟店の判断で人材派遣会社からのスタッフ派遣が必要な場合も出る」と身構える。
金融市場でも混乱が懸念されている。10連休中、東京証券取引所など国内の市場は休場するが、海外では取引が続く。正月休みの今年1月3日に外国為替市場の円相場が1分間に4円近く急騰したように、相場が乱高下すれば国内投資家だけが取り残されかねない。
企業の3月期決算発表は連休の前後に集中するとみられ、4月26日午後3時以降の発表は、連休明けの5月7日まで結果を踏まえた取引ができない。大企業の場合は連休中の海外先物市場に影響が出る恐れがあり、日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)は「決算発表の日時について柔軟な対応を呼びかけたい」と語る。
◆サイバー攻撃も懸念
10連休中には1919年5月4日に北京で起きた中国の反日愛国運動「五四運動」から100年目の“記念日”をはさみ、コンピューターウイルスによる一斉攻撃を懸念する声もある。サイバーセキュリティーサービスを手掛けるEGセキュアソリューションズの岡本早和子マネージャーは「休暇中でも対応できる態勢を整えておくべきだ」と指摘する。
働き方改革が課題になる中、10連休を必ず取るべきか悩む企業も多い。気候が良く作業がはかどる時期だけに、日本建設業連合会には「業界で統一的な動きを取るのか」と会員各社からの問い合わせが続く。アサヒグループホールディングスは商品供給に支障が出ないよう4月30日と5月2日は出勤日として会社全体での10連休取得を見送る。
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■初の10連休で各業界が抱える課題
≪金融≫
・現金不足によるATMの稼働停止
・キャッシュカード再発行など手続きの遅れ
・銀行の窓口閉鎖で両替停止、店舗の釣り銭不足
・海外市場の変動に国内投資家が対応できず
≪IT≫
・海外発のサイバー攻撃リスクの拡大
≪小売り≫
・アルバイトの休暇取得による人手不足
・海外旅行客が増え、国内店舗の来店客が減る
≪物流≫
・円滑な商品供給のため休暇が取れず
一言コメント
安・近・短で過ごすのが一番かも。
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