正恩氏、トップ交渉で「見返り」狙う=経済再建へ制裁緩和不可欠-米朝首脳会談
- 国際
- 2019年2月24日
【ソウル時事】ベトナム・ハノイで27、28両日に開かれる2回目の米朝首脳会談で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長はトランプ米大統領から、非核化の「具体的な措置」の見返りに制裁の一部緩和などの譲歩を引き出す狙いだ。
正恩氏が目指す経済再建に制裁緩和は必要不可欠な条件。正恩体制の安定に向け、成果を得たい考えとみられる。
正恩氏は2016年5月、36年ぶりに開いた党大会で16~20年の「国家経済発展5カ年戦略」を打ち出し、「人民生活を向上させるべきだ」などと強調。昨年4月には核開発と経済建設の「並進路線」から経済建設に集中する方針に転換した。
北朝鮮経済の再建は正恩氏の「公約」とも位置付けられる。韓国統一研究院の洪※(※王ヘンに民)・北朝鮮研究室長は「北朝鮮は経済発展を通じ、正常な国家に生まれ変わることを望んでいる」と分析する。
路線転換の背景には北朝鮮経済の苦境がある。中国の発表によれば、18年の北朝鮮の対中輸出額は約9割減と大幅に減少。国連安保理決議で定められた石炭の全面禁輸などの制裁措置が経済に打撃を与えている可能性がある。
北朝鮮の元駐英公使で韓国に亡命した太永浩氏は「北朝鮮の主要企業や軍などが危機的な状況に追い込まれている」と指摘。正恩氏の肝煎りとされる江原道元山の「元山葛麻海岸観光地区」建設事業も完成が遅れるとの見解を示している。
米朝首脳会談をめぐっては、トップダウンを好み、「(正恩氏と)恋に落ちた」と語るトランプ氏に狙いを定め、非核化の見返りを引き出そうとする正恩氏の交渉戦術とみる見方が多い。日本政府高官は「北朝鮮は下からの積み上げを避け、トランプ氏に抱き付くことに賭けている。心配で仕方ない」と語り、トランプ氏の安易な譲歩を危惧している。
一言コメント
悪い「成果」にならないことを祈る。
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