サガン社長と癒着疑惑、佐賀市副市長が辞任 改修工事に予算流用
佐賀市のプロバスケットボールチーム「佐賀バルーナーズ」の練習場として利用される旧市立富士小体育館の改修工事を巡り、畑瀬信芳副市長(60)が主導して市予算を流用した問題が浮上し、サッカーJ1・サガン鳥栖の運営会社「サガン・ドリームス」の竹原稔社長(58)との癒着が疑われる事態に発展している。畑瀬氏は便宜供与を否定する一方、市政を混乱させたとして18日付で副市長を引責辞任。事態の幕引きを図りたい意向だが、市民から疑惑の追及を求める声がやまない。
「李下(りか)に冠を正さず。疑われることになったのは私の不徳のいたすところだ」。畑瀬氏は辞意を表明した1月25日、報道陣に心境をそう吐露していた。
問題が発覚したのは昨年9月の市議会。市が市議会に説明しないまま別の施設の解体費約3100万円を流用し、昨年3月に旧市立富士小体育館を改修していたことが判明した。市は当初、改修の理由を「住民の要望」と説明していたが、その後の調査で畑瀬氏が竹原社長から受けた相談がきっかけだったことが明らかになった。
市によると、2017年10月下旬、当時総務部長だった畑瀬氏と竹原社長が市役所近くのホテルで会食。Bリーグ入りを目指すバルーナーズの練習場を確保したいとの相談を受けた。これを聞いた畑瀬氏は、旧市立富士小体育館を練習場として提供するよう改修を主導。起案から市長承認まで即日決裁され、業者と随意契約する異例の手続きが取られた。
一方、市は竹原社長からの相談を公文書に残さず、改修工事の理由として「窓ガラスが破損し、雨水で床が腐食している」としていたが、実際には窓ガラスの破損がなかったことが判明。予算流用は違法ではないが、二転三転する説明に市議会は不信感を募らせ、改修事業を含む17年度決算案を不認定に。秀島敏行市長が謝罪し関係者を処分する方針を示すなど市政は揺れた。
混乱に拍車を掛けたのが、30年来の知人という畑瀬氏と竹原社長の関係だった。18年4月に発足したバルーナーズの運営会社「サガスポーツクラブ」の社長は竹原社長の次男と判明。畑瀬氏の長男が体育館改修後の18年7月、竹原社長が経営する薬局運営会社に就職してバルーナーズの運営を手伝っていたことや、畑瀬氏の妻と竹原社長が一時期、同じ飲食店運営会社の役員だったことも分かった。
市議会は畑瀬氏に便宜供与として改修したかをただしたが、畑瀬氏は「市にメリットになるかどうかで判断した」と釈明。市議会への説明を怠ったことについては「失念していた」と述べた。竹原社長も毎日新聞の取材に「悪いことはしていない」と話している。
畑瀬氏は総務部長などを経て18年7月に副市長となり、現在4期目の秀島市長の側近だった。今回は処分前に辞職したため、退職手当約196万円が支給される。NPO法人「市民オンブズマン連絡会議・佐賀」(佐賀市)の味志(あじし)陽子事務局長(72)は「退職金を満額もらうのはおかしい。畑瀬氏にこれ以上の問題が判明したら住民監査請求を検討する」としている。
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スポーツを食い物にする魑魅魍魎か?
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