徴用工問題、仲裁委申し入れ不可避=韓国動かず、対抗措置も現実味-日韓外相会談
- 政治・経済
- 2019年2月16日
【ミュンヘン時事】河野太郎外相は15日の日韓外相会談で、日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた判決について、日韓請求権協定に基づく2国間協議を受け入れるよう重ねて求めた。
ただ、韓国側が応じる気配はなく、政府が協定に沿って仲裁委員会設置を韓国に要請するのは避けられない情勢。対抗措置の発動も現実味を帯びている。
徴用工問題では、韓国の裁判所が新日鉄住金の韓国内資産差し押さえを決めたことを受け、1月9日に政府が2国間協議を要請。30日以内の回答を求め、1月23日の外相会談でも河野氏が康京和外相に受け入れを促したが、期限の2月8日までに返答はなかった。
15日の会談で河野氏は返答を督促したが、康氏は「綿密に検討している」と従来の見解を繰り返した。日本外務省によると、会談は「突っ込んだやりとり」になったが、河野氏同行筋は「平行線だ」と語った。判決への対応を担う李洛淵首相も「司法府の判断を尊重する」と説明するにとどまっており、政府は第三国の委員を交えた仲裁委の設置を要請せざるを得ない状況だ。
仲裁委移行のタイミングについて、政府高官は「実害が出れば一つのきっかけになる」と指摘している。原告側は15日、差し押さえられた新日鉄資産の売却命令を申請する意向を表明。日本政府は資産が現金化されれば仲裁委移行を判断するとみられる。日本企業に損害が出た場合の対抗措置についても発動を検討する。
こうした中、慰安婦問題をめぐり韓国国会の文喜相議長は天皇陛下の謝罪が望ましいとの見解を表明。関係悪化に拍車を掛けた。
3月1日には朝鮮半島の人々が日本の植民地支配に抵抗した1919年の「三・一独立運動」から100年を迎える。河野氏は会談で100周年に触れ、「日韓関係に悪影響にならないようにしてほしい」と述べ、韓国国内で反日感情が高まることへの懸念を示した。国内世論を踏まえ韓国側が日本に譲歩するのは難しい情勢で、関係改善の糸口は見えていない。
一言コメント
交渉するだけ時間の無駄だ。
コメントする