デサント、阻止困難か=伊藤忠がTOB-経営体制めぐり対立
- 企業・経済
- 2019年2月10日
スポーツ用品大手デサントの経営陣と筆頭株主の伊藤忠商事の対立は、敵対的TOB(株式公開買い付け)に発展した。伊藤忠の買い付け期間は3月14日まで。出資比率を30.44%から40%に引き上げ、経営体制を刷新したい考えだ。これに対し、デサントは反対を表明したものの、TOBを阻止するのは難しい状況だ。
両社の関係は、経営危機に陥ったデサントが伊藤忠に支援を仰いで以来で、30年以上に及ぶ。しかし、2013年に創業家の石本雅敏氏がデサント社長に就任後、伊藤忠は次第に不満を強め、対立が深まった。
デサントの売り上げの約半分を占める韓国事業は好調だ。それでも伊藤忠首脳は「あれはうちの出身の社長が手を打ったものだ。日本では他社に比べて全然伸びていない」と不信感をにじませていた。石本社長ら内部出身役員の顔ぶれが何年も変わらないことも問題視している。
伊藤忠は1月末に発表したTOBで、買い付け価格を直近の株価に比べ約5割高の2800円に設定した。鉢村剛最高財務責任者(CFO)は「本来もっと高い潜在力を持っている会社だ」と説明。経営体制を変えれば、利益を伸ばして株価を上げることも可能だと強調した。
対するデサントは「TOBにかかわらず、(伊藤忠に)話し合いの席に着くことを求めていく」(辻本謙一常務)とし、あくまで協議による打開を図る構えだ。
日本では敵対的TOBの成功例は少ない。王子製紙(現王子ホールディングス)が北越製紙(現北越コーポレーション)に対して06年に仕掛けたTOBでは、三菱商事が資金を出す「ホワイトナイト」(白馬の騎士)となって買収を阻止した。
伊藤忠の買い付け価格が高く、取得を目指す株数も発効済み総数の10%弱にとどまるため、同社のTOB成功のハードルは低いとみられている。デサントがTOBを回避するには有力なホワイトナイトを見つけるなど思い切った対抗策が必要だ。
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果たして成功するのか?
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