ピースボート 570億円「豪華客船」計画が“座礁”
- 企業・経済
- 2019年1月31日
1983年、早稲田大学の学生だった辻元清美氏(現・衆院議員)らが設立し、世界一周旅行を手がけてきたNGO「ピースボート」。同NGOが進めていた「豪華客船」の完成が遅れ、ツアーの受付を中止していることが、「週刊文春」の取材でわかった。
「豪華客船計画」とは、2015年にピースボートが発表した新型クルーズ船「エコシップ」(乗客定員1800人)の造船計画だ。
「『エコシップ』の一番の売りは太陽光発電などで二酸化炭素の排出を約4割軽減できる点にある。570億円という莫大な建造費は、社会問題に熱心な基金や個人の投資やクラウドファンディングで集めると説明していました」(業界関係者)
だが、1月22日、ピースボートの船旅を企画・実施する旅行会社「ジャパングレイス」の公式HPに次の文章が掲載された。
〈エコシップの造船契約を締結しているアークテック造船所より(中略)当初完成予定の2020年3月からは2年遅れとなる2022年3月完成という結論が提示され、その変更を受け入れるしかないとの判断に至りました〉
ピースボートのリピーターの一人は、「週刊文春」の取材に次のように答えた。
「2015年に初めて新造船について知り、すぐに旅行代金140万円を振り込みました。ただ、リピーターにだけ計画を公表したのが不可解でした」
海運・造船専門紙「海事プレス」を発行する海事プレス社元社長の若勢敏美氏が疑問を呈する。
「造船所すら決まっていない段階で乗客からお金を集めており、業界の常識から外れています。そもそも570億円の大金が本当に集まるのか疑問です。すでに発表した3回分の船旅で、予約金はかなりの金額になっているはず。船室のランクによって値段は異なりますが、すでに約50億円が集まっているのではないでしょうか」
ジャパングレイスは次のように回答した。
「昨年半ばから、完成時期に影響が出る可能性が造船所より指摘されましたが、最終的に造船所から間に合わないとの回答が出たため、昨年12月末からは受付をしておりません。
いただいた旅行代金は建設資金に充てる予定はありますが、既に支払ったのかなどは造船契約の守秘事項となっております。集まっている金額は、貴誌の記事で不安を覚えたお客様全員が取り消しを申し出る事態となっても、返還に応じられる程度であり、当社の財政基盤にまでは影響しません」
1月31日(木)発売の「週刊文春」では、ピースボートの「豪華客船計画」の顛末について詳報している。
一言コメント
安かろう悪かろうじゃないよね?
コメントする