収賄容疑の元課長、釈放後に証拠隠滅か 口裏合わせ依頼、業者は応じず 熊本県玉東町
熊本県玉東(ぎょくとう)町の汚職事件を巡り、収賄容疑で逮捕された町建設課長=休職中=が、地裁による勾留取り消しの決定で釈放された後、贈賄業者側に容疑を否定するよう口裏合わせを依頼する電話をかけていたことが県警の調べで分かった。捜査関係者は「証拠隠滅に当たる行為」と指摘。業者側は依頼に応じず、元課長は昨年末に収賄罪で在宅起訴されている。
事件では町建設課長だった清田良一被告(54)が昨年4月、町道維持工事で便宜を図った見返りに建設会社役員から現金30万円を受け取ったとして、同10月13日に収賄容疑で逮捕された。弁護人は「身柄拘束の必要はない」として準抗告。熊本地裁が勾留を取り消し、同16日に釈放された。
捜査関係者によると、容疑を認めていた清田被告は釈放後「金は借りただけ」と一転して否認。他人名義の携帯電話を使い、建設業者に口裏合わせを依頼するなどしたという。捜査関係者は「相手が口裏合わせに応じていたら起訴できなかったかもしれない。勾留を認めなければ事実の究明に影響する」と非難する。
刑事事件を専門とする熊本県弁護士会の村山雅則弁護士は「身柄拘束の必要性は慎重に判断するべきだ。熊本では検察側の勾留請求が却下される事例が増えており、望ましい傾向だといえる」としながらも「贈収賄事件は一般的に物証が残らないので、勾留が認められないのは珍しい」と話した。
元福岡高検検事の小野寺雅之・西南学院大法科大学院教授(刑訴法)の話 罪証隠滅の恐れが高い贈収賄事件で、収賄側の容疑者が逮捕後に釈放されたのは非常に珍しい。今回は口裏合わせの依頼などで証拠隠滅を図ろうとしており、準抗告した弁護人も結果的にはだまされたと言えるのではないか。検察側はこれまで以上に、裁判官に対して身柄拘束の必要性を丁寧に説明していくべきだろう。
一言コメント
永遠に拘留したほうがいいんじゃない?。
コメントする