北朝鮮漁船か 漁民ら4人を保護 島根
- 政治・経済
- 2019年1月9日
島根県隠岐の島町で8日午前、北朝鮮漁船とみられる小型木造船が漂着し、4人の男性漁民が県警に保護された。政府関係者への取材で分かった。警察当局が経緯を調べる。昨年は過去最多の北朝鮮漁船が漂着したが、上陸は確認されていなかった。4人は帰国を希望、県警は脱北や亡命目的ではないとみている。
政府関係者らによると、「(港で)外国人らしき人たちが船のそばにいる」と住民から県警に通報があった。4人は黒のジャンパーと長靴を着用。10代後半から30代で、北朝鮮沿岸でイカなどを取る漁師だという。衰弱しているが、健康状態に問題はない。
4人は県警などに「昨年12月2日に(北朝鮮北東部の)清津を出発し、同6日に漁を終えて帰港予定だったがエンジンが故障した」と朝鮮語で説明、政府は説明内容の検証を進める。入管関係者によると、遭難と判断されれば、人道的に保護した上で外交ルートを通じ、出身国側の費用負担で出国させる準備を進めるという。
漂着地点近くに住む村上武子さん(83)によると、男性らは炭と油のようなものを顔に塗っていた。凍傷防止のためとみられる。「知らない言葉」(村上さん)をつぶやき、水を飲むしぐさなどをしたため、自宅前まで連れて行き水とおにぎりを提供した。
1人は地面に「日本」と漢字で書いたが、日本語は分からない様子だった。警察署に保護される際には、村上さんから借りた上着を返し、頭を下げた。村上さんは「なぜこんな所にいたのだろう」と話していた。
北朝鮮籍とみられる漁民らの上陸は北海道・松前小島で窃盗事件を起こした平成29年11月以来。直前には秋田県由利本荘市に8人が上陸、住宅のインターホンを鳴らすなどした。政府関係者は「今回も、荒天で転覆せずに漂流したため生存できた」との見方を示した。
警察や海上保安庁は「武器の所持や住民への危害、防疫面など懸念事項が多い」として北朝鮮漁船の漂着や生存者の上陸に備えるが、警戒範囲は広域に及び、万全とはいえないのが実情だ。
一言コメント
有効な対策は難しいということか。
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