「70歳現役」へ 注目集める福岡県の取り組み 就業や社会参加支援
- 政治・経済
- 2018年12月25日
福岡県が平成24年に始めた高齢者の就業や社会参加を支援する「70歳現役社会づくり」の取り組みが進んでいる。政府は今年、現行で65歳までの継続雇用の義務付けを70歳に引き上げる方向で本格的な検討を開始。超高齢化社会への対応を迫られる中、福岡の取り組みが注目を浴びている。
■子育てマイスター
「アナログな遊びをしないのは知らないだけ。ちゃんと教えれば今の子供たちも喜ぶ」
地域で子育てを応援する高齢者を県が独自に認定する「ふくおか子育てマイスター」となるための北九州市での研修会。
講師が陣取りや石蹴りなどの懐かしい遊びを紹介すると、60歳以上の参加者ら約30人は歓声を上げたり、童歌を口ずさんだりした。
「マイスター」制度は24年に開始。7日間の研修会を修了し、認定されたのは今年3月までに1400人余りに上る。
北九州市小倉南区の無職、沖洋次さん(69)は「孫ができ、娘の手助けがしたいと思って参加した。地域の見守り活動などにも生かせれば」と目を輝かせた。
■現役応援センター
県は「年齢に関わりなく活躍し続ける社会モデルをつくり、全国に広める」狙いを実現させるため、その中核を担う「70歳現役応援センター」を24年に設立。「70歳現役社会づくり」の取り組みを始めた。
名称を「70歳」としたのは「高齢者イコール65歳」という認識を変えたいとの意図も込めたという。センターは就活相談やボランティア紹介のほか、高齢者向けの出張セミナーも開いている。発足後6年間で約1万4千人が登録し、その半数ほどが一般企業やボランティア団体、NPOなどに所属し、活動する。29年度の新規登録者は約3割が70歳以上だったという。野田亮子センター長は「生活費を稼ぐ手段としてはもちろん、社会とつながっていたいとの目的の人も多い」と話す。
■九州・山口へ
27年には「九州・山口70歳現役社会推進協議会」が設立され、第1回大会が福岡市で開かれた。
内閣府の高齢社会対策担当は、福岡県の取り組みを「70歳に着目した点や、自治体が高齢者に広範な選択肢を提供している点が先進的だ」と評価。内閣府は過去に「高齢社会白書」で紹介したこともある。
法政大大学院の藤村博之教授(人的資源管理論)は「誰かの役に立っていると実感できることが大切。65歳を超えて働く人が多い県では医療費の減少が統計に表れており、雇う側にも人手不足解消の有力な手段になる」と指摘している。
一言コメント
次は75歳現役!?
コメントする