九大ねこ部って? まじめに人間と動物の共生探る 年1回のシンポも
- 政治・経済
- 2018年12月23日
九州大に「九州大学ねこ部」なるサークルがある。猫好き学生たちのゆるい集まりかと思いきや、野良猫対策から動物愛護や外来種問題に至るまで幅広く議論し、シンポジウムも開催。自分たちの活動を発信するためフリーペーパーを発行するなど、猫と動物を巡る問題に真剣に向き合う、いたってまじめなサークルだ。
11月の夕方、週1回のミーティング場所となる福岡市西区の九大図書館の学習室を訪れると、部員10人がホワイトボードを前に意見を交わしていた。平昌五輪のフィギュアスケート金メダリスト、アリーナ・ザギトワ選手(ロシア)に贈られたことで話題になった秋田犬に触れ合える秋田県の施設が人気を呼ぶ一方、肝心の犬が体調不良になるケースが出ているというニュースが議論の発端だった。
「おりの中だと犬もストレスがたまるよね」という声をきっかけに、動物園や人気の「猫カフェ」など、動物と触れ合える施設全般のあり方へと議論が発展する。「動物たちの出番を時間によるシフト制にすればいい」など、さまざまな意見が飛び出した。
ねこ部は「猫を通して人と自然、動物との関係性や在り方について考える」をモットーに2014年5月に発足した。部員は現在約30人。新歓イベントで猫カフェや、猫の島として知られる相島(福岡県新宮町)を訪問する他は、猫をかわいがる場面はほとんどない。薬学部2年の伊藤孝輔さん(20)は「猫を飼って戯れているのかと思ったら、まじめなサークルでびっくりした」と苦笑する。
部員たちは入部後、人が猫と暮らすようになった起源や猫の生態、正しい飼い方など、猫を巡る「基礎知識」を文献などから学ぶ。その後は、各自興味がある動物の問題について研究するが、テーマは野良猫対策の地域猫活動やノネコの生態系への影響、動物愛護先進国のドイツと日本の政策比較など幅広い。
研究成果を発信するため、毎年10月には福岡県獣医師会などが開催する猫と人間との共生について考えるイベントに参加し、昨年からはねこ部としてもシンポジウムを年1回主催する。11月に福岡市で開いた2回目のシンポジウムでは、部員たちが▽外来種問題と生物多様性▽日本の動物政策▽実験動物の倫理――などの研究テーマを発表した。
昨年からはフリーペーパー「ねこ部だより」を半年ごとに発行し、学内やシンポジウム会場などで配布。活動内容のほか、獣医師や愛護団体で活動する人のインタビューなども掲載しており、文学部2年の須佐菜月さん(19)は「人間と動物が共生するにはどうすればいいか考えてもらえるきっかけになればうれしい」と話す。
一言コメント
ユニークなサークルだ。
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