「社長の卵」と中小企業を橋渡し 山口FGがファンド新設へ
- 企業・経済
- 2018年12月23日
経営者の後継ぎがいないため、廃業に追い込まれる中小企業が増える中、山口フィナンシャルグループ(FG)が、こうした企業と、会社経営を志す若者を結びつけるファンドを、来年1月中旬にも新設することが21日、分かった。若者が社長に就く態勢を整え、事業継続を支援する。山口FGが店舗を展開する山口、福岡、広島各県の地場産業振興を目指す。(大森貴弘)
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ファンドは、対象となる中小企業に1億~3億円を出資し、株式の半分以上を取得する。一方で経営希望者には、会社を引き継ぐまでの資金として、1千万~2千万円を支援する。ファンド側は事業承継によって株価が上がれば、利益を得られる。
対象企業は、山口FG傘下の各銀行の取引先を中心に探しており、すでに製造業や水産加工業などで、ファンド活用を検討する企業があるという。
一方、社長の「卵」として、初年度は原則、MBA(経営学修士)を取得した20~30代を候補とする。海外名門大学の同窓会組織などを通じて、希望者の選定を進めている。
ファンド創設に先立ち、山口FGは今月25~27日、両者の「お見合い」の場を設定する。約10人の社長候補が、福岡県と山口県の中小企業6社を訪問する。若者は実際に企業をみて将来性などを判断し、企業側は経営を託せる人材かどうかを見極める。
実際の出資は来年4月以降の予定。ファンドは初年度10億円の規模でスタートし、その後、30億円程度までの積み増しも想定する。
こうした取り組みは「サーチファンド」と呼ばれ、1984年に米国で誕生した。山口FG投資共創部の山根孝部長は「日本には欧米と違って、プロの経営者が少ない。再生請負人のようなプロ経営者を、山口から育てたい」と語った。
帝国データバンクの昨年12月の調査によると、山口県に本社を置く企業のうち、後継者が「いない(決まっていない)」と答えた割合は76・4%に上った。全国平均(66・5%)を大幅に上回り、都道府県別では2位だった。
後継難の企業が消滅したり、域外企業に買収されれば、地域経済への打撃となる。ファンドによって、外部から人材を呼び込むことができれば、地場企業を守り、成長させることが可能となる。
山口FGの吉村猛社長は「地元企業の声に丁寧に耳を傾ける中、次々と課題が見えてきた。このファンドのように、地方創生に向けて、私たちなりの処方箋を示したい」と語った。
一言コメント
中小企業の経営も難しいよ。
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