ファーウェイ問題、九州企業も対応始める
- 企業・経済
- 2018年12月15日
中国の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)の通信機器を、日米が政府調達から排除する方針を示した影響が、国内の民間企業にも広がる。米政府は長年、両社の製品をサイバー攻撃の温床として警戒してきた。社会インフラを担う九州の企業も、使用状況の確認など、対応を始めた。 (中村雅和)
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九州電力はファーウェイ、ZTEの製品・サービス使用について現在、社内調査を進めている。
九電は、原発など発電用巨大プラントから、九州の隅々に電気を送る送配電網まで、情報通信技術を駆使する。コンピューターウイルスなどへの対応には、力を注いできた。システムの基幹部分には、データ伝送を「一方通行」に制限し、外部からの侵入を遮断する部品を採用する。
それでも、周辺システムや、事務用パソコンまで含めれば、さまざまな形でインターネット経由で、外部とつながっている。
九電へのサイバー攻撃は激化の一途をたどり、年間数千万回を数えるようになった。そこで九電は、本年度から、サイバーセキュリティ対策室が、システム構築の段階から、防御に関与するようにした。
同室の工藤英雄セキュリティ統括グループ長は「今回に限らず、サイバー攻撃に対する防御をしていなければ、大きなリスクとなる。対策の強化を図る」と語った。
また、九州のある地銀担当者は「行内システムでファーウェイやZTEの機器の採用や、採用予定はない」と述べた。
■要請あれば調査
米国はファーウェイなどに対し、特許侵害など経済的なものに加え、安全保障上の危惧を抱いてきた。
2011年、米国防総省は「ファーウェイなどが、人民解放軍と密接な関係がある」とする報告書を発表した。その後も「安全保障上の脅威」(2012年、米下院報告書)、「米企業に中国政府とみられるアクセスが急増」(2015年、FBI報告書)などと懸念を示し続けた。
トランプ政権は、中国との貿易戦争もあって、ファーウェイ排除に舵を切った。
日本企業も無関係ではいられない。電力網に限らず、例えば鉄道の運行管理に使われる通信機器に、情報漏(ろう)洩(えい)や機能停止などのプログラムが埋め込まれていれば、交通網の混乱が起きる恐れがある。
JR九州の青柳俊彦社長は「(機器などの)資材は会社の信頼性を評価した上で調達している。ただ、光ケーブルやいろんな機器があり、ファーウェイ製が全くないことは、ありえないと思っている」と語った。OEM(相手先ブランドでの生産)製品など、一見した限りでは分からないまま、ファーウェイ製品を使用するケースもあり得る。
青柳氏は、政府からの要請や指摘があれば、調査などに乗り出すと語った。
菅義偉官房長官は13日の記者会見で、政府が電力や水道など重要インフラの14分野に対し、情報漏洩の懸念がある情報通信機器を調達しないよう要請するかどうかについて「現段階で民間企業に要請する予定はない」と述べた。
ただ、サイバー空間での攻防は、国民の生活を左右し、一国の安全保障に関わるようになった。インフラの安全確保には、官民挙げて取り組む必要がある。
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オール国産にする!?
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