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ローソン「悪魔のおにぎり」1000万個超え 王者ツナマヨ抜き


 ローソンが10月に発売した新商品「悪魔のおにぎり」(税込み110円)が好調だ。12月はじめに販売個数が1000万個を突破。通常の新商品なら1年はかかる水準をわずか1カ月半で超え、絶対王者と言われた「手巻おにぎり シーチキンマヨネーズ」(ツナマヨ)の牙城も崩した。「コンビニおにぎりの歴史を変えた」との声もある悪魔のおにぎり。好調の背景や今後について聞いた。【増田博樹/統合デジタル取材センター】

◇「うまい、しかも安い」商品化急ぐ

悪魔のおにぎりは、白だしで炊いた米に、天かす、青のり、天つゆを混ぜたおにぎり。チャレンジングな名前は、日本人の味覚にあった和風の味付けで、「おいしすぎてつい食べ過ぎてしまう」ことから名付けられたという。

開発のきっかけは、南極の基地で料理人が作る「悪魔のおにぎり」が紹介された6月のテレビ番組。南極では残飯が出ないよう、残った材料を別の料理に活用することが多いが、紹介されたおにぎりもそうした料理の一つ。基地では夜食として人気だったという。SNSでも話題になり、ローソンのスタッフが実際に作ってみたところ、おいしいおにぎりが安い価格でできたため、急いで商品化に着手した。

◇ローソンのおにぎり史上に名を刻む

10月16日に発売されると、約20年にわたって首位を守るツナマヨの売り上げに初日からいきなり肉薄する。いっぷう変わったネーミングや分かりやすい味、SNSでの高評価、10月28日のツナマヨ超え(単日ベース)達成などの話題が、ネットやテレビで切れ目なく伝えられ、11月3日には1日65万個のローソン新記録を樹立。そして、12月4日に累計販売個数が1000万個を突破した。通常の新商品おにぎりの売り上げは月間で100万個程度だから、その勢いは突出している。

特に注目されたのがツナマヨ超えだ。どれほどすごいことなのか。ローソンでおにぎりを担当するデイリー商品部の堤洋平さんは「ツナマヨは、コンビニのメイン顧客である20~40代の男性から『味付けがしっかりしている』と長年強く支持いただいている商品。2位のサケを常に大きく引き離す『絶対王者』で、悪魔のおにぎりがこれを上回ったことは史上最大の快挙。おにぎりの歴史に名を刻んだと言えます」と話す。

◇原材料不足が直撃 社を挙げて調達

だが、65万個の記録を出した直後、売れすぎによる原材料不足に見舞われる。店舗への納品数を一時的に発売当初の3分の1に制限、売れ行きが急降下した。特に青のりと天かすの不足が著しく、調達部門だけではなく、加工食品部門も加え「会社を挙げて」(堤さん)ありとあらゆる取引先に頭を下げ調達に奔走した。そのかいあって、11月中旬以降の売り上げは徐々に回復し、11月20日からは2日間を除いて再びツナマヨを上回って推移している。

◇「ローソンストア100」でも販売

悪魔のおにぎりは低価格業態の「ローソンストア100」でも販売されている。発売は9月12日とローソンより早い。ローソンの約1万5000店舗に比べ、ストア100は約800店舗と少ないため、売り上げは約50万個にとどまるが、一般的な新商品のおにぎりの2倍のペースで売れているという。なお、商品名こそ同じだが、材料は全て独自に調達しておりローソンとは価格も味も違う(税込み108円)。

ストア100のおにぎりは、「紅鮭(べにじゃけ)」「五目ごはん」「ツナマヨ」が、約10年間不動のベスト3だったが、悪魔のおにぎりは2位に食い込んでいる。紅鮭の強さについて広報担当者は「60~80代のシニアも多く、SNSで話題になっても紅鮭人気は動かないようです」と話す。

それでも売れ行きは「爆発的」といい、ストア100では11月下旬に悪魔のおにぎり3個半分に当たる400グラムのご飯が入った「悪魔ご飯」を発売。めんつゆと天かすを別に添え、好みで味を調節できる「追い悪魔」と呼ぶ食べ方も提案している。悪魔のおにぎりでローソンと競合はしないのか。広報担当者は「一緒に盛り上げていければと思っています」と話す。

◇おにぎり「コンビニとともに成長」

悪魔のおにぎりの今後は? 堤さんは「ずっとこのブームが続くとは思いませんが、一度落ち込んだ後に盛り返しています。ある程度は定番に近い売れ方をしてくれると思っています」とみる。

コンビニにとってのおにぎりの位置づけについて堤さんは、「コンビニの成長と一緒に成長してきた商品。店舗が増えるのにあわせて進化を続けてきました。コンビニにとって非常に大切な存在です」と話す。アンケート調査では顧客がコンビニに求めることの上位に「おにぎりのおいしさ」が入ることが多い。力の入る商品分野なのだ。

悪魔のおにぎりの好調ぶりを受け、早くも次の一手を考えるよう経営トップから指示が下っているという。「『さらにおいしいもの』『もっと話題になるもの』という二つの視点から新施策を検討中です」と堤さん。来年の早い時期にはさらに進化したおにぎりが登場する予定だ。

毎日新聞

 

 

一言コメント
おにぎり戦争も熱い。


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