ファーウェイCFO逮捕、米制裁に違反か 米中の新たな火種に
- 国際
- 2018年12月7日
[バンクーバー/ワシントン 5日 ロイター] – カナダ司法省は5日、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟(メン・ワンツォウ)・最高財務責任者(CFO)をバンクーバーで逮捕したと明らかにした。米国に身柄が引き渡される可能性がある。
関係筋によると、華為の取締役会副会長の1人で、創業者の任正非氏の娘でもある孟氏の逮捕は米制裁措置への違反に関連しているという。ロイターは違反の詳しい内容を確認できていない。
在カナダ中国大使館はウェブサイトに掲載した短い声明で、「中国は米国とカナダに対し、誤った行動を改め、孟氏の自由を回復するよう、厳正に抗議した」と述べ、孟氏の即時釈放を求めた。
米中両国は数日前の首脳会談で貿易戦争の「一時休戦」で合意したばかり。孟氏の逮捕により、両国関係の溝が深まる可能性がある。
米株価指数先物とアジア株は下落。孟氏の逮捕を受け、米中が関税だけでなくハイテク分野の覇権争いでも大きく対立する可能性があるとの見方が強まった。
今回の逮捕について、チャップマン大学(カリフォルニア州)のJia Wenshan教授は、トランプ政権の中国に対する地政学戦略の一環だと指摘し、「米中貿易交渉の進展が妨げられる大きなリスクがある」と語った。
また、中国商務省系シンクタンクのMei Xinyu研究員は、人民日報海外版の微信(WeChat)のアカウントに掲載された記事で、トランプ政権が中国との合意を破棄する可能性を示唆していると分析。「戦いの後に協議するという険しい道のりが、近い将来、米中関係の常態になる。中国はこうした新しい闘争環境に慣れる必要がある。米政府の約束はすべて用心が必要だ」と述べた。
ギャブカル・ドラゴノミクスの創設者アーサー・クローバー氏は、中国政府が、同国に進出している米国企業に同様の報復をする可能性は低いと指摘。中国に進出する米国企業は、貿易戦争で、中国政府と利害関係が一致する部分があり、中国政府の交渉力の源となってきた、としている。
<米国の対イラン制裁に違反か>
今回の逮捕について、ベン・サス米上院議員は、「米国の対イラン制裁に違反したことに対するもの」だと述べた。「中国の侵害は時に、明確に国家の支援を受けたもので、多くのいわゆる『民間』企業を通じて行われることがある」と付け加えた。
カナダ司法省報道官によると、孟氏が逮捕されたのは今月1日で、7日に法廷審問が予定されている。
華為は逮捕を確認する声明を発表した。容疑に関する情報はほとんど得られていないとした上で、「孟氏の過失は承知していない」との立場を示した。華為によると、孟氏はカナダで飛行機の乗り換え中に拘束されたという。
関係筋が今年4月、ロイターに明らかにしたところによると、米当局は華為が米国製品をイランなどに輸出し、米国の輸出・制裁関連法に違反した疑いがあるとして、少なくとも2016年から捜査しており、捜査はニューヨークの連邦検察当局が中心になっている。
米司法省は現時点でコメントの要請に返答していない。ニューヨークの連邦検察当局の報道官もコメントを控えた。
ロイターは2013年1月、香港を拠点とするスカイコム・テックが当初知られていた以上に華為と深いつながりがあったと報じた。スカイコムは、禁輸対象の米ヒューレット・パッカード(HP) のコンピューター機器をイランの携帯電話大手に売却しようと試みていた。
スカイコムが香港の会社登記担当当局に提出した記録によると、孟氏は2008年2月から2009年4月まで同社の取締役を務めた。また同社の複数の元幹部と現幹部も華為と関係があるとみられている。
一言コメント
米中関係もまたややこしくなりそうだ。
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