フランス燃料増税6カ月棚上げ 抗議デモ拡大で改革「挫折」
- 国際
- 2018年12月5日
【パリ=三井美奈】フランスのフィリップ首相は4日、来年1月に予定していた燃料税の引き上げを6カ月間、棚上げすると発表した。全国に抗議デモが広がり、経済への影響が深刻化したため、政府は方針修正を迫られた。昨年の就任以来、改革を掲げてきたマクロン大統領には、初の「挫折」となった。
フィリップ首相は「フランス国民は怒りを示した。耳をふさぐことはできない。(燃料税引き上げは)対話なしには行わない」と発言。年明けに、税金や公共サービスをめぐる国民対話を行う方針を示した。電力価格の引き上げも、当面は見送るとした。
政府は手詰まりになった挙げ句、譲歩を迫られた。首相は4日、デモ隊の穏健派に対話を呼びかけ、過激派との分断を狙ったが、拒否されて断念した。3日に各党代表と行った協議では、国会解散や増税撤回の要求を突きつけられた。
デモ隊には燃料税引き上げの「完全撤回」を求める声も強い。増税凍結の発表を受け、デモが収束するかどうかは不透明だ。
デモは4日も続き、首相の演説を前に、各地でデモ隊が石油貯蔵所を占拠した。燃料供給は滞り、ガソリンスタンドには長い車列ができた。運送業者組合は3日、11月から続くデモで「損害は4億ユーロ(約512億円)にのぼる」と発表。食品・飲料メーカーの業界団体は3日の声明で、「デモの損失は135億ユーロ(1兆7千億円)にのぼる可能性がある。業界売り上げの2割は年末年始に集中する」と危機感を示した。
一言コメント
日本と大違いだ。
コメントする