<厚労省WG素案>児相の介入機能を強化 虐待死防止へ
- 政治・経済
- 2018年12月1日
◇体制整備の計画策定を自治体に義務づけ
児童虐待防止に向け、児童相談所(児相)の機能強化策などを盛り込んだ報告書の素案を、厚生労働省の社会保障審議会ワーキンググループ(WG)がまとめた。虐待死を防ぐため、親から子どもを引き離して保護する児相の介入機能を強化することが柱で、児相を置く都道府県や市に対し、介入専門の部署設置など体制整備の計画策定を義務づける。7日のWGで公表し、年内に最終案をとりまとめる。【横田愛】
WGでは、東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が虐待され死亡したことを受けた政府の緊急総合対策で積み残した点について議論してきた。
虐待が疑われる家庭に対し、児相は、子どもを保護する介入機能に加えて、将来的に子どもを家庭に戻すために親を含めて支援する機能を併せ持つ。しかし結愛ちゃんのケースなど、親との関係がこじれることを懸念して十分な介入ができていないとの指摘があった。
素案では、必要と判断した場合に児相がためらわずに介入できる体制整備のため、(1)介入と支援の部署を分ける(2)介入と支援は別の職員が対応する(3)介入の際に弁護士や警察官OBを活用する--ことなどを検討した上で、計画を策定するよう求めた。
2017年度に13万件を超え、増え続ける児童虐待通告への対応も課題だ。児相の全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」を虐待通告に特化したダイヤルに改め、子育て相談などは別の電話番号を設けるべきだとした。通告の中で、子どもの前で配偶者に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」の件数が増えて業務を圧迫している。そのため、国に面前DVの通告を受けた後の対応指針も策定するよう求めた。
一方、児相職員の資質向上では、相談・支援を担う児童福祉司に助言するスーパーバイザーの国家資格化も検討されたが、要件や客観的な評価方法が定まっていないとして「引き続き検討」とするにとどめた。
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