「空調の巨人」ダイキンに挑む、三菱電機とパナソニックに勝ち目はあるのか
- 企業・経済
- 2018年11月19日
三菱電機とパナソニックが空調事業の拡大に向け、総合力を生かして単品売りに代わる事業形態を模索している。空調を成長事業と位置付ける両社の意識の先には世界最大手、ダイキン工業がある。ダイキンは専業ならではの迅速な経営判断の下、人員などを需要が拡大するアジアなどに集中している。総合電機2社は、縦割りだった昇降機や換気扇など他事業と連携し相乗効果を狙う。撤退した携帯電話など情報家電技術にも活路を見いだす。
三菱電機は空調の海外展開で、ダイキンに対抗する力を秘めている。だが、「(ダイキンのような)専業ほどの人員資源はない」と、松本匡常務執行役は認める。一方、「換気扇やエレベーターを含めた人員規模は遜色ない」ことから、総合力でダイキンに挑む構えだ。
対抗のカギは、「ほとんどの地域で保守が義務付けられている」(松本常務執行役)というエレベーター事業。エレベーターの保守を突破口に空調をはじめ、照明や換気扇などビル設備全体の保守を狙う。ダイキンが経営課題とする、販売後も顧客と関わりを持つ事業形態を、三菱電機は東南アジアなどの新興国で実現する。
パナソニックは空調設備と換気扇を組み合わせ、室内環境を総合的に高めるシステムを東南アジアと中国で展開し始めた。売上高8兆円規模の同社も、空調単体ではダイキンの4分の1程度しかない。
そこで、都市部の大気汚染が深刻化する中国の顧客に、快適で生産性の高い「空気の価値」を提案するなど新規ユーザー開拓を進める。
一方のダイキンは、高い成長が見込めるインドや東南アジア各国に1000―2000店舗と、全土を網羅する販売網を構築中だ。峯野義博常務執行役員が自社の取り組みを「ここまでやるか」と表現するように、総合電機が音を上げるほどの徹底ぶりだ。
その中で、総合電機がダイキンと差別化を図れる材料の一つがITだ。パナソニックは2010年代半ば、エアコンなどの白物に対し“黒物”と呼ばれる薄型テレビや携帯電話などの家電を縮小。ITの技術者を白物などに移したが、現在の空調事業トップの高木俊幸常務執行役員は黒物出身だ。
三菱電機も、かつて汎用計算機などに力を入れ、「情報解析などのノウハウが残っている」と、伊藤泰之専務執行役は力を込める。
両社ともITのノウハウを生かし、機器の稼働データを統合するデータベースを構築する計画。空調や照明、換気扇などのデータを連携させる。施設ごとの利用状況をより深く分析できるため、省エネルギー化などをさらに進める考えだ。
一言コメント
ダイキンは世界最大手なんだね。
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