パーソルホールディングス傘下のシンクタンク、パーソル総合研究所と中央大学は23日、共同研究として取り組んできた「労働市場の未来推計2030」を発表した。2030年の人手不足数は644万人と17年実績の121万人から5.3倍に拡大し、人手不足が一段と深刻化するという。

総務省の労働力調査など各種統計を活用し、労働需要と供給を予測して不足人数などを推計した。20年に384万人、25年には505万人と拡大を続け、30年には644万人に達するとしている。

産業別で見ると、サービス産業は2101万人の需要に対し供給は1701万人で400万人の不足、医療・福祉も187万人の不足となり、他産業よりも深刻化する。一方、金融・保険・不動産は30万人の余剰になるほか、現在は人手不足が深刻な建設も99万人の余剰になると分析した。

パーソル総研では644万人の不足に対し、働く女性を102万人、高齢者を163万人、外国人を81万人増やすことで対応。さらに人工知能(AI)やロボットなどの技術革新で298万人分の労働力を代替すれば不足を埋められると推計した。

中大の阿部正浩教授は「高齢者活用では女性の労働拡大が求められるが、そのためには介護が問題になる。介護を続けながら働いていける社会を作ることが重要だ」と強調した。