特殊詐欺被害が大幅減 ATM制限が効果 県内1~9月
- 詐欺・悪徳商法
- 2018年10月9日
■認知件数半減・総額は4割以下/官民一体対策実る
県内で特殊詐欺の被害が大幅に減っている。県警によると、今年1~9月の認知件数は前年同期の半数以下で、被害総額は4割以下に減少。警察庁のまとめでは、今年上半期に被害を水際で防いだ「阻止率」は都道府県別で富山がトップだ。県警は官民一体となった対策が奏功しているとみており、金融機関では高齢者の被害対策を強化する動きが出ている。 (社会部・浜松聖樹)
県警によると、今年の特殊詐欺の認知件数は9月末までに46件で、前年同期と比べて49件少ない。被害総額は6442万円で、前年同期から1億1125万円減少した。
警察庁のまとめでは、金融機関職員やコンビニ店員らの声掛けで被害を防いだ今年上半期(1~6月)の「阻止率」は富山県が全国1位の81・1%だった。全国平均の48・6%を大きく上回る。
県内で対策の効果が表れているのが、現金自動預払機(ATM)に誘導して預貯金をだまし取る「還付金詐欺」を阻止する取り組みだ。10金融機関は昨年、1~3年以上振り込みをしていない70歳以上を対象にATMでの振り込みを制限。昨年1年間に県警に還付金詐欺の相談を寄せたのは70代が年代別で最多の41件だったが、今年は9月末までで0件。被害も1件だった。
一方、60代の被害や相談の割合は急増。県警は振り込み制限のない60代が狙われているとみて、制限年齢の拡大を金融機関に呼び掛けている。
にいかわ信用金庫(魚津市、岸和雄理事長)と富山信用金庫(富山市、山地清理事長)は10月20日から対象年齢を「70歳以上」から「65歳以上」に引き下げる。にいかわ信金は「一人でも多くのお客さんを守るため」、富山信金は「利便性が悪くなったとしても、被害が起きてからでは遅い」としている。
県警捜査2課の佐藤寛俊次席は「対象年齢の拡大は非常に有効で、対応に感謝している。県内の金融機関でさらに広がることを期待したい」と言う。
県警は、金融機関や地域などと連携して被害を防ぐ「スクラムでゼロ」を掲げている。8月からは、地域に啓発グッズや情報を提供する独自の取り組み「特殊詐欺被害ゼロ地区運動」が始まった。生活安全企画課の青野秀夫次席は「目指すのは被害の減少だけではなく、なくすこと。官民のスクラムでゼロを目指したい」と話している。
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