ペット市場は“第2の子供”市場!? 進化する『ペット健康ビジネス』 平均寿命伸びて活況
- 経済情報
- 2018年10月8日
ゴキゲンなワンちゃんに、愛くるしいネコちゃん!さらにフェレットちゃんや、なんとブタさんまで!
9月、大阪で行われた日本最大規模のペットのイベント「Pet博2018大阪」。
最新のペット用品やペットフードの販売、さらに衣装を着せての写真撮影などが行われ、3日間でおよそ4万5000人が集まりました。
実は、日本のペット関連市場は毎年100億円以上のペースで拡大していて(矢野経済研究所調べ)、いまや1兆5000億円にも膨れ上がっているんです!
そんな中、飼い主たちが特にお金をかけているのが…。
飼い主:
「毎日飲ませてるお薬が2か月分で1万5000円ぐらいかかってる」
別の飼い主:
「ダイエットフード買うと高いです」
さらに別の飼い主:
「医療費は結構高いので…」
そう、ペットの健康に関するお金なのです。
そこに目を付けた企業が続々と新たなサービスを開始。進化し続ける“ペットの健康ビジネス”に迫りました!
■犬用の『酸素カプセル』も…
背中に器具を当てられて気持ち良さそうにしているワンちゃん。実は、“犬のお灸”(温灸)の真っ最中。人間のお灸と同じような効果があるそうなんです。
兵庫県西宮市のペットショップ・阪急ハロードッグ。
ペット用品やフードの販売のほか、ペットの美容院やホテルまであり、創業から10年間売り上げは伸び続け、なんと4倍以上に。
さらに、ペットの健康市場の盛り上がりに目をつけ、去年から犬向けのヘルスケア事業も始めました。
店長:
「動物病院というのは、病気じゃないとなかなか行けないところですけど、ハロードッグはお店ですので、気軽にご相談して頂けます。多いお客さんだと毎日お越しいただいて何らかの健康ケアをさせて頂いています」
7歳を迎えた飼い犬のチワワ・くるみちゃんを連れて店を訪れたのは、廣田恵美子さん。
くるみちゃんは人間で例えると40代ということで、健康が気になり、ヘルスケアサービスを初めて利用しました。
まずは無料のカウンセリングです。
店員:「性格はどんな感じですか?」
廣田さん:「怖がりです」
担当するスタッフは全員、動物看護士や動物介護士の資格を持ったスペシャリスト。ワンちゃんに触るなどして健康状態を確かめた後は、歩き方までチェックします。
店員:
「筋肉の量ですが、左が少し少なかったので、そっちの筋肉を増やすような動きを入れていくのもいいかと思います」
…と、スタッフが用意したのは犬専用のバランスボール。ワンちゃんそれぞれの状態に合わせたメニューでレッツエクササイズです!
たっぷり運動した後はエイジングケアマッサージを受けて、夢見心地。さらに…。
店員:
「じゃあ、くるみちゃんを『酸素カプセル』にご案内させていただきます」
ペットの健康のためなら、とことんやる!この日くるみちゃんが受けたサービスは、合計6000円。ここまで様々なサービスが1つの場所で受けられる施設は国内にはほとんどなく、利用者は毎月増え続けているといいます。
飼い主の廣田さん:
「ワンちゃんだけど、ついつい『ウチの子』って言って人間化してしまっていることがあるので、そうするとよりいいものを与えてやりたいなと思います」
■犬の心の動きを「数値化」
なぜ、こんなにペットにお金をかけるようになったのか。20年間、動物病院を営む、中家道明獣医師に話を聞くと…。
中家獣医師:
「20年くらい前だと、近所の庭につながれてた犬がいっぱいいました。でも今は見ないですね。ほぼ家飼いが多い。家の中に入れることによって、より情が沸くというか、健康の変化に敏感になりやすいので、『あ!調子がおかしい。病院にいこう』と、病院に行ってお薬をもらうということになります。月に2~3回は来られるという人が普通になってきていると思います」
飼い主の健康に対する意識の高まりや医療の発達により、犬の平均寿命は1985年に7.6歳だったのが、2016年には2倍近くの14.36歳に(一般社団法人ペットフード協会調べ)。その生涯にかかる金額も増え続けているのです。
そのビッグマネーは異業種からも注目を集めています。
大手電機メーカーのシャープは今年7月に大阪府立大学と共同で“犬向けのバイタル計測サービス”を開始しました。
開発した商品は電機メーカーならでは。センサーの付いた器具を装着すると、心拍数や呼吸数などのデータがコンピューターに表示され、なんと犬の感情の動きが分かるそうです。
大阪府立大学・島村俊介准教授:
「心の動きを数値として出すことができますので、体のどこかに不調があるとか、どこかに異常を抱えていて痛みに耐えているとか、そういう時にも同じような変化が出てくると思っています」
中でも注目は自立神経のバランス。リラックスしていると数値が上がり、興奮したりストレスを受けたりしている時には下がります。
実際にどんな時に数値が変化するのか、取材班が計測器具を身につけたワンちゃんを撫でてみると…、最初120だった数値は74に下がりました!
一見、リラックスしているようにも見えますが、知らない人と接するのは、ストレスがかかるのでしょうか…。
この器具は、動物病院など主に医療施設向けに提供されていますが、今後は家庭でも使えるように開発が進められるということです。
島村准教授:
「病気の発見を早めることや、病気を悪化させる前に治療に入ること、そういう形で医療費を軽減していけるのではないかと思います」
進化し、広がり続けるペットの健康ビジネス。今後、どんなサービスが登場するのでしょうか…。
一言コメント
人間よりカネがかかる。
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