<会計検査院>高速3社、保全点検違反 パネル裏未確認
東日本、西日本、中日本の高速道路3社による高速道路の維持管理を巡り、会計検査院が抽出調査したところ、トンネル内に設置された内壁パネルの裏側をファイバースコープで確認していない実態が明らかになった。関係者によると、近くから目視確認ができない部分はファイバースコープを差し込むなどして確認するとの保全点検要領に反しているという。検査院は3社に改善を求める方向で検査を進めている。
また、点検で「速やかに対策を講じるべき劣化」と判定されたにもかかわらず、維持管理計画に反映されていない道路部分やトンネル部分などが計268カ所に上ることも判明した。
国は2014年、9人が死亡した中央道笹子トンネル(山梨県大月市)の天井板崩落事故(12年)や全国的な道路の老朽化を受けて道路法を改正。同法の改正施行規則では、トンネルや橋などについて、「近接目視」を行い、劣化がないかを点検すると定めた。
施行規則を受けて3社は、トンネル内のパネルの裏側など近くから目視することが不可能な部分はファイバースコープなどで対応するとの要領を策定。各グループ会社に保守点検を委託し、緊急度別に維持管理計画を立てている。だが、関係者によると、検査院が16、17年度に3社のトンネル110カ所を調べたところ、ファイバースコープによる確認は実施されていなかった。44カ所では水が漏れ出すなどの劣化がみられたという。
また、今年3月末時点で「速やかに対策が必要」と判定された計6669カ所も調査。うち268カ所が3社の維持管理計画に反映されていなかった。判定から4年以上経過しているのに補修工事契約が結ばれていない所も88カ所あった。保守点検記録に添付された現場写真が、過去の撮影分の使い回しだった例もあったという。
3社の広報担当者はそれぞれ「(検査院の)検査中なのでコメントできない」としている。
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