<エレベーター>地震時閉じ込め防止で対策要請 国交省方針
- 政治・経済
- 2018年9月23日
今年相次いだ大規模地震で、エレベーターの停止や利用者の閉じ込めが多数発生したことを受け、国土交通省は週明けにも、業界団体と大手保守点検会社に、被害対策を講じるよう文書で要請する方針を決めた。首都直下地震では約3万台のエレベーターが止まると想定されており、ビルやマンションが多い都市での災害対応が急務と判断した。
国交省によると、北海道胆振(いぶり)地方を震源とする最大震度7の地震では約9200台のエレベーターが停止し、23台で利用者が中に閉じ込められた。札幌市中央区の30階建てマンションに住む管理組合理事長の今江敏明さん(74)は地震発生後、安全確認のため、階段を30階まで4往復した。水をためた地下のタンクも停電でくみ上げられず、「トイレの水を流すために上層階の住民はへとへとになって水を運んだ」という。
中央防災会議の被害想定は、首都直下地震では最大約1220万軒が停電し、約1万7000人がエレベーターに閉じ込められるとしている。6月の大阪北部地震では6万台以上が止まり、閉じ込めは最大で5時間を超えた。
2009年改正の建築基準法施行令は、新設のエレベーターに、一定の揺れを感じると最寄りの階で停止して扉が開く装置の設置を義務付けた。だが、日本エレベーター協会によると、全国約75万台の4分の1が未導入。また、強い揺れで止まったエレベーターは技術者が点検し安全を確認するまで再開できない。
このため国交省は、同協会には閉じ込めをより減らす技術開発などを、保守会社には点検を担当する技術者を災害時に増員するなどの体制の検討を、それぞれ求める文書を出す。
神戸大の大西一嘉研究員(防災計画)は「マンション住民は、昔は一戸建てを買う前の若い世代が中心だったが、現在は高齢者も増え、エレベーターが使えなくなる影響は大きい。業者任せにせず、事前に準備できる対策に自ら取り組んでほしいし、国もマンション管理組合の防災支援に積極的に乗り出すべきだ」と指摘する。
一言コメント
タワマンなんか特に恐ろしい。
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