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中国発クルーズ船、上半期2割減 博多港発着、日本人向けツアー始まる


福岡市の博多港を発着する、日本人対象のクルーズ船短期ツアーが19日から始まる。これまで「お得意さま」だった中国人の観光客数が足踏みする中、巨大な船内で生じた空き客室の有効利用策として、クルーズ船に縁遠かった日本人客に目を向けた。海上の非日常空間を楽しむ機会を通じて、より多くの市民にクルーズ船旅行の魅力を浸透させる。(中村雅和)

博多港は、主に中国・上海発のクルーズ船を使ったインバウンド(訪日旅行)客でごった返す光景が当たり前のようにみられた。

だが、今年に入ると一変した。中国発のクルーズ船ツアーが供給過多となって値崩れし、日本向けの便数を減らした。その結果、今年上半期は博多港への寄港数が前年より2割減った。

福岡市は寄港船の減少を抑えるには、インバウンドとは逆に日本からのアウトバウンド(海外旅行)を促す施策を打ち出し、博多港に送客力を持たせる必要があると判断した。

そこで、JTBなど旅行代理店に呼びかけ、これまでクルーズ船で旅行する機会がなかった層に、気軽に楽しんでもらればと、今回の短期ツアーを企画した。

MSCクルーズ(イタリア)と、ノルウェージャン・クルーズライン(米国)の2社が運航する巨大クルーズ船を利用する。博多-上海間を3泊4日か4泊5日で楽しむコースがある。

2隻とも乗客定員は4千人を上回る。従来、日本を発着するクルーズ船の乗客定員は2千人台が主流だった。日本各地を10~20日で周遊するタイプが多く、旅費も数十万円と敷居も高かった。

それを今回は福岡と上海を結ぶ旅路の片道分は航空機を利用することで、旅程を3~4日に設定できた。価格も1人当たり10万円程度まで抑えた。

中国からの観光客が減った分、空き室になったスペースを日本人に利用してもらうことで、稼働率を上げる。2隻とも、ツアーにあわせた日本人枠を最大で40人分、確保した。

JTBクルーズ部仕入れ企画担当の江藤公彦課長は「日本人向けに新たな価値や体験を提供する。まとまった長期の休暇は取れなくても楽しめる」と語る。

福岡市クルーズ支援課の林由木夫課長も「短期でも乗船できる機会が増えれば、寄港数増のメリットを福岡の市民にも一層、感じていただける」と話す。

◆まるで高級ホテル

8月24日、博多港からのツアーで運航するクルーズ船「ノルウェージャン・ジョイ」(乗客定員4620人)の船内見学会が開かれた。昨年就航したばかりで、初年度に37万人のツアー客を世界各地に運んだ。

水面から船の最上部までの高さは60・8メートル。福岡市役所(64・5メートル)とほぼ同じだ。全長は333メートルもあり、日本最大級の豪華客船「飛鳥II」(定員872人、全長241メートル)より、はるかに大きい。

高級ホテルさながらの内装で統一感がある。調度品などにもこだわり抜いた。

大小さまざまなプールやレストラン、免税店にカジノまで楽しめ、飽きさせない。ラウンジはガラス張りで包まれ、地平線から大きく広がる空まで見渡せるほど眺望も良い。

見学会に参加した福岡市博多区の主婦、松尾綾氏(35)は「予想以上の大きさに圧倒された。国内旅行と変わらない価格なら、クルーズ船での旅を選びます」と感想を述べた。

九州・山口は巨大な市場が広がるアジアに近い。そんな地理的な好条件を武器に博多港はクルーズ船の寄港数を増やし、3年連続で寄港数は日本一になった。

ときには、クルーズ船での入国者が九州の港で失踪する事件が起き、入国管理局などの職員が対応に追われたり、入国者のマナーをめぐるトラブルも目立つ。

そうした問題と真正面から向き合いながらも、港の利用者を増やす新たな一手として、福岡市は今後、アウトバウンド対策に本腰を入れる。短期ツアーはその第1弾として、年内に計7便を予定する。

産経新聞

 

 

一言コメント
行ける人が羨ましい。

 

 


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