概算要求、続く“借金依存” 「平成」最後の19年度、30年間で1.6倍に
- 政治・経済
- 2018年9月1日
平成最後の概算要求総額は、過去最大の102兆円台後半になる見通しとなった。元年度に当たる1989年度の要求額は約64兆円で、この間に1.6倍にまで膨れ上がった計算だ。国の歳出改革は待ったなしの状況だが、来年10月の消費税増税に備えた景気対策が概算要求とは別に上乗せされるなど、歳出拡大圧力は強まっている。年末の編成に向け財務省がどこまで切り込めるか、真価が問われそうだ。
歳出が増加傾向で推移する一方、一般会計税収はおおむね40兆~60兆円の範囲で推移。不足を国債で賄う“借金依存”が続いている。概算要求額が拡大している最大の要因は高齢化や医療の高度化などに伴う社会保障費の増加だ。2019年度の厚生労働省の概算要求は過去最大の31兆8956億円。1989年度の厚生省と労働省の概算要求の合計は11兆2681億円で、3倍近くにまで膨らんでいる。
そのため2019年度の予算編成でも厚労省予算の行方が最大の焦点だ。特に18年度までの3年間は社会保障費の伸びを1兆5000億円(年5000億円)に抑制するという上限が設けられていたが、19年度は「高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」とするのみで数値目標はない。同省の概算要求では高齢化に伴う自然増を6000億円としており、財務省がどこまで切り込めるかが注目される。
ただ、来年4月には統一地方選、夏には参院選が控えており、政府・与党は国民に負担を求めるような改革には踏み切りにくい環境でもある。来年10月には消費税率の引き上げという負担増が既に控えていることを考えればなおさらだ。
SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは「19年度からの3年間は非常に重要な意味を持つ」と語る。20、21年度は第二次世界大戦の影響で、医療費などがかかる後期高齢者(75歳以上)となる世代が大幅に減少することが分かっているからだ。この間は財政にも余裕が生じるが、22年度からは逆に団塊の世代が後期高齢者に差しかかる。社会保障費の増加額も年9000億円程度に拡大するという内閣府の試算もあり、いったん財政規律が緩めば、立て直しは容易ではない。
景気の先行きも懸念材料だ。末沢氏は「景気が悪くなれば(雇用や所得環境が悪化するなど)社会保障費はさらに増大する。景気が良いうちに歳出改革をすべきだ」と話している。
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