さよならセーブオン 群馬県民支え35年 あす全店閉店
- 企業・経済
- 2018年8月30日
「なくなるのは寂しい」「大きな味方だった」―。群馬県発祥のコンビニエンスストアとして、多くの県民に親しまれてきた「セーブオン」159店(7月末時点)が31日午前7時に営業を終了する。1983年の1号店開店以来、35年にわたって県民生活を支えてきたなじみ深い地場のコンビニ。放課後に友達と、休日に家族らと利用し、ほっと一息付けた身近な場所がなくなることを惜しむ声は多い。
各店舗は31日の営業終了に向けて商品の整理を進めており、現在は価格を割り引いて販売しているケースが目立つ。左官業の春山宏二さん(50)=前橋市=は「仕事現場へ向かう際によく立ち寄る。なくなるのはやっぱり寂しい」と名残惜しそう。渋川市の20代男性は「家から一番近いコンビニで、よく利用していた。アイスが安いので、高校生の時に友達と寄り道して買ったのが思い出」と懐かしむ。
郷土食の焼きまんじゅうや低価格のアイス、「三代目茂蔵」ブランドの豆腐製品など特色ある商品展開も大きな魅力だった。焼きまんじゅうが好物という主婦の真下千賀子さん(63)=前橋市=は「焼きまんじゅうを売っている店舗があると、つい寄ってしまった」と笑顔で話す。家計に優しい価格の商品も多く「年金生活者には大きな味方だった」と残念がる。
高崎市の男性(40)は「ここ数年で店舗がどんどん減り、なじみが薄れてしまった。寂しいが、足が遠のいていたのも事実」と打ち明けた。
今後、完全閉店する一部を除いた店舗が「ローソン」に転換する。セーブオンのプリンが好きだったという本多悦子さん(65)=前橋市=は「買えなくなるのは残念だが、ローソンはおにぎりがおいしい」と話し、新装開店に期待した。
見上げれば、赤と白、オレンジの3色の看板がいつもあった。子どもの頃、小遣いを手に友達とよく寄った。夏はアイス、冬は中華まん。セーブオンはそれだけ身近だった。
大学時代、伊勢崎市内のセーブオンで1年ほどアルバイトをした。午前6時からの勤務。出勤前にスーツや作業着で立ち寄る客で忙しく、同じ顔ぶれが多かった。「バイトを辞めてもっと遊べ」「今日は暑くなるよ」。常連客が声を掛けてくるのは特別なことではなかった。コンビニよりも近所の商店と言った方がしっくりくる。そんな店だった。
「俺はセーブオン以外には行かない」と言い切る常連も。近くの競合店にどう立ち向かうか、客の立場を超えて店を愛していた人だった。大好きな店も、間もなく看板を下ろす。
地域に根ざして35年。近年は群馬ならではのコンビニとして知られ、多くの県民にも親しまれた。一斉閉店と聞けば、物寂しさが募るばかりだ。
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地場資本が次々となくなっていく。
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