金密輸組織、8・5億円追徴…所得申告漏れ指摘
- 事件・事故
- 2018年8月28日
大阪市を拠点とする金の密輸グループが、大阪国税局の税務調査を受け、2016年までの6年間で、香港の業者から報酬として支払われた手数料計約10億円の申告漏れのほか、計約4億円の消費税を免れていたと指摘されたことがわかった。無申告加算税を含む追徴税額は約8億5000万円に上る。金の密輸組織に対する国税当局による多額の追徴課税が明らかになるのは極めて異例。
関係者によると、課税対象は、大阪市中央区の貴金属輸入販売会社「ロコ」と、同社社長(51)ら密輸グループのメンバー10人。メンバーの多くは課税を不服として、大阪国税不服審判所に審査請求を申し立てるなどしているという。
グループは約10年前から、香港の複数の業者からの依頼で、「運び役」「荷さばき役」など役割分担して行動。金を化粧品などと装って関西空港経由で密輸し、ロコを通じて国内の買い取り業者に販売、代金は香港の業者に渡し、見返りに手数料を受け取っていた。
海外での購入額が20万円を超える金を輸入した場合、税関で消費税8%分を納める必要がある。香港では金を無税で購入でき、密輸して国内で消費税分を上乗せした金額で売れば、消費税分の利ざやが得られる。このためグループは密輸で不正利益を得ていたとされる。
メンバーらは、香港の業者から密輸の手数料を受け取っていたが、11年から16年までの所得計約10億円を申告していなかった。また、ロコは金を輸入する際に納めるべき消費税約3億4000万円を密輸により免れるなど、グループ全体で消費税約4億円を納付していなかったとされる。ロコの社長は読売新聞の取材に対し、「会社、個人共に適正に税を納めている」としている。
このグループを巡っては、メンバー10人が16年1月、金地金130キロ(約6億円相当)などを関西空港に密輸しようとしたとして、大阪府警に消費税法違反などの容疑で逮捕され、うち9人は有罪判決が確定している。府警から課税通報を受けた大阪国税局が調べていた。
一言コメント
税金恐るべし。
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