ふくおかFG・十八銀統合、経営逼迫の地銀再編モデルケースに
- 企業・経済
- 2018年8月25日
ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と十八銀行の経営統合計画がようやく認められたことで、全国の地方銀行再編のモデルケースになりそうだ。人口減少や日本銀行のマイナス金利政策による貸出金の利ざや縮小などで地銀の経営は急速に逼迫(ひっぱく)。日銀が大規模金融緩和の長期化に踏み出す中、生き残りをかけた再編を迫られている。
FFGと十八銀を合計すれば、長崎県内の貸出金シェアは約7割に上る。寡占化による不当な金利引き上げや貸し渋りの発生を懸念した公正取引委員会に対し、両行は時間をかけて地元企業の協力を取り付け、貸出債権を他の金融機関に移すことで理解を得た。
同一県内の経営統合は、越境統合に比べて重複店舗の見直しなどでコスト削減の効果が大きい。円滑に借り換えを進めることができれば公取委の承認を得られると今回明らかになり、他の都道府県でも再編の追い風になる可能性がある。
一方、FFGの柴戸隆成社長(福岡銀行頭取)は、「競争は大事だが地銀がなくなるのが地元にとって一番困る。切り詰めながらも店舗網や金融サービスを維持するのが使命だ」と経営統合への思いを説明する。
上場する地銀80社の最終利益は平成30年3月期に5年ぶりに1兆円を割り込んだ。4~6月期も本業の貸し出し業務の減益幅が大きく、7割超の58社が最終減益や赤字という苦しい状況だ。
短期金利をマイナス0・1%、長期金利を0%程度に抑える日銀の大規模緩和が長期化し、利ざや(貸出金利と預金金利の差)で稼ぐ従来の経営モデルでは収益が出しづらくなった。高リスクの外国債券に手を出して損失を被った地銀もあり、当面は金融商品の販売などによる手数料収入や経費削減でしのぐしかない。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の笹島勝人シニアアナリストは「本来は再編で経営規模を大きくして生き残りを図るべきだ。ただマイナス金利がそれを妨げている」と指摘する。
経営統合の直後は店舗の改装や看板の掛け替えなどでむしろ経費が先行する上、再編を引っ張る“勝ち組”もおらず、利ざや縮小で収益が出ない間は二の足を踏む恐れがあるためだ。
日銀は7月の金融政策決定会合で大規模緩和のさらなる長期化に向けた政策修正を行い、早期の経営環境改善は絶望的となった。再編に踏み切る余力すらない地銀の将来は一層苦しい。
一言コメント
地方メガバンク!?の誕生だ。
コメントする