サントリー食品、子会社の「有給チャンス」パワハラ2年前に把握 “現物メール”確認できず当時は口頭注意に
ブラック企業ユニオンによる告発がきっかけで物議をかもしている、サントリーグループ子会社・ジャパンビバレッジ社員による「有給チャンス」クイズ問題。事態を受けて、ネット上では「解決するまでサントリー不買運動はじめるわ」「申し訳ないけどこれはサントリーごとアウト」など、親会社であるサントリー食品インターナショナル(以下、サントリー食品)に対しても批判が集まっています。
もちろん直接の当事者はあくまでジャパンビバレッジですが、サントリー食品側はいつごろからこの問題を把握しており、これまでどのような対応を行ってきたのか。サントリー食品の広報に取材しました。
―― ジャパンビバレッジ社員による「有給チャンス」メールが問題視されています。
サントリー食品広報:ジャパンビバレッジは2015年に買収し、グループ会社として経営するようになって3年になります。この間、働き方改革を進めるべく、労働時間の削減や生産性向上を図るなどさまざまな改善策を推進してきましたが、今回、過去のこととはいえ、道半ばでこうしたことが起きてしまったことは残念に思っています。今後ともグループ全体で一層、改善を図っていく必要があると思います。
―― 「有給チャンス」メールについて、サントリー食品側ではいつから把握していましたか。
サントリー食品広報:広報部では今回はじめて知りましたが、社内で確認したところ、2016年に匿名の通報メールが、サントリー食品の総務部に届いていたとのことです。直ちにジャパンビバレッジに連絡したところ、ジャパンビバレッジ側にも同様の通報メールが届いていたことが分かり、調査を進めました。
―― どのような調査を行ったのでしょうか。
サントリー食品広報:このときはジャパンビバレッジが当該支店長や従業員への聞き取りを行ったのですが、問題のメール自体が見つからず、また申告者も匿名だったため、最終的には「きちんと有給休暇が取得できるように」と口頭での注意にとどまったと聞いています。
―― ジャパンビバレッジについては、労働基準監督署から4回にわたって是正勧告が出されており、これについて問題視する声もあがっています。
サントリー食品広報:4回という回数については少し誤解があるのですが、これはユニオン側が4カ所の労基署に申告したためで、事象としてはあくまで1つです。現在、労基署の指示に従って対応しており、従業員側と意見が食い違っている部分については誠心誠意交渉を続けていますが、争いのない部分についてはおおよそ支払いが済んでいると聞いています。
―― 今後サントリー食品として何か対応をとる予定はありますか。
サントリー食品広報:ジャパンビバレッジの相談に乗っています。現場の事実確認は当事者であるジャパンビバレッジにお願いしていますが、適時情報共有し、対応内容を確認しています。また中長期的視点では、労働環境の改善をグループ全体で取り組んでいきます。
―― 「有給休暇を取れない」という状態を放置していることについて、単純に労働基準法違反ではないかとの指摘もあります。
サントリー食品広報:「有給休暇を取れない」というのが前提になってしまっていますが、放置しているわけではなく、取得促進の取り組みは行っています。少なくとも今回のメールで「クイズに答えられなかったから有給休暇が取れない」というルールはなかったと聞いています。また日常的に有給休暇が取れない状況なのかどうかについては、もちろん繁忙期には取得時期をずらすようお願いしたりすることはありますが、実態は調査中です。もちろん、取れるようにしなければならないと思っています。
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広報担当者によれば、少なくともサントリー食品側にも2016年時点で匿名の通報メールが届いており、事態としては把握していたとのこと。ただ、その後の調査や対応についてはジャパンビバレッジに一任しており、サントリー食品としては「適時情報共有しつつ相談に乗る」といったスタンスだったようです。今後については、基本的にはジャパンビバレッジが対応するとしつつも、「労働環境の改善を図っていくのはグループとして責任がある」とも語りました。
今回の件にどこまでサントリー食品が介入できるか(すべきか)については意見が分かれるところですが、ネット上ではサントリー食品側の対応を望む声も依然として多く、それだけジャパンビバレッジの自浄能力が疑問視されているということなのかもしれません。
一言コメント
サントリーさんもしっかり介入した方がいいんじゃない?
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