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2018年に入って「回転寿司店」の倒産件数が急増


2018年1-7月「すし店」の倒産状況

 子供からお年寄りまで幅広い年齢層に好まれる「回転寿司」。日本生まれのファストフードで、手軽な価格設定が人を吸い寄せているが、業界の競争は年々激しさを増している。
2018年1-7月の「回転寿司店」を経営する会社の倒産件数は6件発生した。このペースで推移すると、過去10年間で年間最多だった2016年(7件)を上回る可能性が高くなった。
百円均一寿司などが受け、「デフレの勝ち組」の代表格として拡大をたどった「回転寿司店」だが、漁獲量の減少による魚価高騰、人手不足、消費者の実質賃金の伸び悩みなどが重なり、地方を中心に経営環境は厳しさを増している。

◇「回転寿司」が押し上げ、2018年1-7月の「すし店」倒産が12.5%増
2018年1-7月の「すし店」の倒産は、18件(前年同期比12.5%増、前年同期16件)と、全体の倒産が低水準で推移するなか、前年同期を上回って推移している。
この要因には、多店舗展開の失敗などによる「回転寿司店」の倒産件数の押し上げがある。2018年1-7月の「回転寿司店」を経営する会社の倒産が6件(前年同期1件)と急増しているからだ。

◇魚価高騰と人手不足が回転寿司店の経営を直撃
「回転寿司店」の倒産増加の要因は、以下のことが挙げられる。
(1)他の飲食業に比べ、ベルトコンベヤーや注文用タッチパネルなど、多額の初期投資が必要な先行投資型産業で、顧客の回転率を高めに維持しなければならない。だが、大手チェーンを含めて出店が相次ぎ、同業他社との競争が激しくなっている。
(2)飲食業の中でも原価率が高いとされるビジネスモデルのため、最近の漁獲量減少による魚価高騰が響いてる。さらに、アルバイトを含めた賃金も上昇しているが、コストアップを吸収する価格改定が難しい。
(3)食材は輸入品も多く、為替の影響を受けやすい。最近の円安基調がボディーブローのように企業体力を消耗させている。

外食産業全体の業績が伸び悩む中で、「回転寿司」業界は右肩上がりの成長を続けてきた。
市場拡大を牽引したのは大手チェーン店の出店攻勢で、大手の寡占化も拡大している。関係者は、「業界再編がさらに進む可能性がある」と指摘しているが、魚価高騰や人手不足などの経営課題の解消メドが立たず、地方や中小の回転寿司店の今後の動向には目が離せない。

【2018年 主な「回転寿司店」経営会社の倒産事例】

(1)エコー商事(株)(神奈川県)
(TSR企業コード:350439559、横浜市、資本金3000万円、従業員100名)は4月2日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は15億3000万円。
同社は、「ジャンボおしどり寿司」の店名で、神奈川県内を中心にピーク時には20店舗を展開していた。一皿120円~760円の寿司を提供するグルメ系回転寿司として、100円均一の回転寿司店とは一線を画し、ピーク時の売上高は30億5800万円を計上した。しかし、最近は大手同業チェーンの台頭により競争が激化して減収傾向が続いていた。このため、スクラップ&ビルドにより、ここ数年は12店舗での営業だった。消費者の低価格志向の高まりや積極的な出店展開による金融債務が重く支えきれなくなった。

(2)(株)プリーズ(福井県)
(TSR企業コード:602025990、福井市、資本金1000万円)は4月25日、福井地裁に破産を申請した。負債総額は3億200万円。
同社は、店名「まつりずし」の回転寿司店を福井県内を中心に多店舗展開し、その後は大手に対抗するためタッチパネルを利用したオーダー形式の「ファミリー寿司割烹まる」を出店するなどで、ピーク時の売上高は10億円を計上した。しかし、同業他社との競争が厳しく、既存店のリニューアルや、不採算店舗の閉鎖を進めたものの業績悪化に歯止めがかからず、債務超過状態から行き詰まった。

(3)(有)エスワイケイ(富山県)
(TSR企業コード:590223011、高岡市、資本金5000万円、従業員20名)は2月5日、富山地裁高岡支部に破産を申請した。負債総額は2億3900万円。
同社は、当初は焼鳥店だったが、地場の回転寿司のFC店に加盟した。県内に支店展開し、ピーク時には約5億円の売上を計上した。しかし同業他社との競合激化で採算が悪化、業績の立て直しが図られないことから、今年1月末で店舗を閉鎖した。

(4)ビックマウス(株)(北海道)
(TSR企業コード:040058891、釧路市、資本金3375万円)は7月6日、釧路地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は1億9500万円。
同社は、1989年10月に釧路市では先駆けとなる回転寿司店「ビックマウス芦野店」をオープンした。次々に支店展開を進めてピーク時には4億5100万円の売上を計上した。しかし、同業他社との競争激化から店舗閉鎖を余儀なくされた。最近は新たな店舗形式の「鮨茶寮四季彩」を運営するほか、百貨店が開催する北海道物産展にも出店していたが、売上減少に歯止めがかからず事業継続を断念した。

(5)(株)仁々(三重県)
(TSR企業コード:522164196、鈴鹿市、資本金300万円)は7月4日、津地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は3100万円。
同社は、回転寿司店「かいおう三重鈴鹿店」を経営していた。しかし、2016年8月にFC本部だった(株)海王コーポレーション(富山県)が破産するアクシデントに巻き込まれた。その後は「回転寿司みえ丸」に店名を変えて営業を続けていたが、集客が落ち込み経営が悪化。先行きの見通しが立たないことから6月27日に閉店して事業継続を断念した。

東京商工リサーチ

 

一言コメント
中堅の回転寿司店が特に厳しいようだ。

 


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