盗まれたカード情報、1800件保存の不正サーバー発見 確認は異例、売買に利用か
- 事件・事故
- 2018年7月30日
サイバー犯罪で不正に盗まれた国内の個人利用者らのカード情報を、ネット上で大量に保存するサーバーが見つかったことが29日、分かった。情報は日々増減しており、最大で1800件分に達する日があったという。犯罪者が活用しているとみられる個人情報がこうした形で見つかるのは極めて珍しく、実像が分からなかった情報売買の流れなどが解明される手掛かりになるとみられている。
調査した情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」(東京)によると、これらの情報はクレジットカード会社などのサイトにアクセスした利用者のパソコンに、偽の認証画面が出るよう仕向ける手口で集められたものとみられる。
情報はデータベース化され、1件ごとに発行元やカード番号▽セキュリティーコード▽有効期限▽生年月日やサイトの認証情報▽「秘密の質問」とその答え−などが記載されていた。「その情報が販売済みかどうか」を記録しているとみられる欄もあり、カード情報の不正利用や売却をするために利用していたとみられる。使用言語は英語で、ロシア語も一部使われていた。発行元は全て国内のカード会社で、被害に遭ったカード所有者は50歳以上が74%だった。
5月22日の発見時点でこのサーバー内のカード情報の保存件数は1727件だったが、6月18日には1800件に到達。1日平均2件以上のペースで蓄積されていた。同19日には保存件数が1679件まで急減し、同社は「闇サイトで売買するため、他のサーバーに移した可能性がある」と分析する。
犯罪情報をやり取りするいわゆる「闇サイト」では、含まれる情報によって価格が変わるが、1件約20〜約130ドル(今月27日現在で約2200〜約1万4400円)で取引されているのが確認されたという。
今回の発見に至った理由について、同社の岡本勝之セキュリティエバンジェリストは「攻撃者側の設定ミス」と推測。「データベースを参照でき、どのような仕組みなのかも分かってきた」として、犯行手口の解明に役立つとする考えを示している。
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【用語解説】インターネット上でのカード情報の窃取
クレジットカード会社のサイトにアクセスした利用者のパソコンに、偽の認証画面やログイン画面が表示されるよう仕向け、入力された個人情報を盗み取る手口のサイバー犯罪。攻撃者は偽メールなどでコンピューターウイルスに感染させ、偽の画面が表示されるように仕向ける。盗まれた情報は売買されるなどした上で不正に利用され、最終的に金銭被害を受ける可能性がある。接続した利用者を偽サイトに自動的に移動させ、個人情報を盗み取る「フィッシング」と異なり、偽の認証画面などで表示されるURLは正規サイトと変わらないため、利用者は感づくことが難しい。もともとはネットバンキングの利用者を狙ったものが主流だったが、銀行が対策強化を進めたことで、徐々にカード利用者を標的とするケースが増えてきた。
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