外食、全面禁煙進む 売り上げ減 家族客増も「簡単では…」
- 政治・経済
- 2018年7月19日
改正健康増進法の成立を見越し、外食産業大手は既に全面的な禁煙の取り組みを始めている。顧客から禁煙を求める要望も強く、各社とも受動喫煙を敬遠する家族客などの来店増に期待をかける。実際、成立に先立ち、ほぼ全店で全面禁煙に踏み切った大手居酒屋チェーンでは客足が増えたが、愛煙家の客の多い業態では売り上げ減少の懸念も依然くすぶっている。
「ショッピングセンター(SC)には共用の喫煙スペースがあり、それを活用できる」。サイゼリヤの堀埜一成社長は21日からSC内の店舗で全面禁煙を先行実施する理由をこう説明する。来年9月をめどに国内全店を全面禁煙とする方針を打ち出していたが、法改正など禁煙に向けた動きの強まりもあり対策を加速させることにした。
ファストフードでは日本マクドナルドが平成26年8月から、
ファミリーレストランではロイヤルホストが25年11月から全店で全面禁煙を実施。これに続く形でモスバーガーも32年3月までに約1300の全店で全面禁煙とするほか、ケンタッキーフライドチキンも来年3月までに全店で全面禁煙を達成する方針だ。
一方、大手居酒屋チェーンの串カツ田中は今年6月、国内全192店のうち、フロア分煙ができる店などを除き、9割超の179店で全面禁煙とした。客層に愛煙家の多い業界では初めてで、客数激減の可能性も指摘されたが、6月の既存店客数は前年同月に比べ2・2%増と予想を覆した。
会社員・男性客が6%減少したものの、逆に家族客が6%増加。女性やカップルの客なども増えた。ただ、お酒を飲まない客が増えたため、お通しが出せずドリンクの稼ぎも減り、客単価は5%減少。既存店売上高も2・9%減となっており、同社は対策を強化する方針だ。
ある居酒屋チェーンの幹部は、「串カツ田中のようにファミリー重視シフトなら可能だが、やはり居酒屋にたばこはつきもので、全面禁煙は簡単ではない」と本音を漏らしている。
一言コメント
愛煙家にとっては、より厳しい時代になりそうだ。
コメントする