伊調10月復帰プラン 東京五輪出る!パワハラ問題乗り越え 見えた5連覇への道
- スポーツ
- 2018年7月9日
レスリング女子で五輪4連覇の伊調馨(34=ALSOK)が10月の全日本女子オープン(10月13〜14日、静岡・三島市民体育館)での復帰を検討していることが、8日までに複数の関係者の話で分かった。出場すれば16年リオデジャネイロ五輪以来の実戦となる。日本レスリング協会のパワーハラスメント問題などもあって実戦から遠ざかってきたが、今秋から本格化する2020年東京五輪の代表選考に向け、いよいよ女王が動きだす。
伊調の復帰プランが徐々に見えてきた。今春から日体大で本格的な練習を再開。まず全日本女子オープンで試合経験を積んだ上で、来年の世界選手権(10月7〜13日、開催地未定)の代表選考会となる全日本選手権(12月20〜23日、駒沢体育館)に向かう。日体大の松浪健四郎理事長も10月復帰プランについて「伊調は出場を考えていると思う。練習は十分にできていても、やはり試合勘というものがあるだろう」とうなずいた。
リオ五輪で女性アスリート初の4連覇を達成した伊調は、その後マットから遠ざかった。16年10月には国民栄誉賞を受賞したものの、東京五輪での5連覇については「しっかり覚悟を決めてからじゃないと4年後を目指すとは言えない。もうちょっと時間がかかります」と何度聞かれても慎重な姿勢だった。
今年に入ると伊調を指導していたアテネ五輪銅メダリストの田南部力コーチらの告発で協会のパワーハラスメント問題が発覚。伊調も被害者の一人として認定され、レスリング界は大揺れとなった。
その中で伊調がリオ五輪後から練習拠点を失っていることがクローズアップされ、行き場のなくなっていた状況で日体大が練習場所を提供した。昨年末から徐々に通い出し、現在では朝練にも積極的に参加している。同大では田南部氏もコーチを務めており、再び五輪を目指す上での環境に問題はない。
練習を見学したという松浪理事長は「スピードをつけるために自分より軽い階級とやったり、力をつけるために重量級とやったり、考えて練習をしている」と五輪4連覇の強さの秘密を感じ取ったという。伊調自身も女子部員の指導役を務めながら、復帰への準備を着々と進めてきた。
リオ五輪の選考過程を踏まえると、来年の世界選手権を制した選手が東京五輪を目指す上で優位に立てる。そのためには、12月の全日本選手権を制することが重要。伊調ほどの実績があれば推薦出場も可能だろうが、全日本女子オープンで勝てばその時点で出場資格が得られる。2年後に迫った東京五輪を見据えて、伊調が再び厳しい争いの中に舞い戻ろうとしている。
◆伊調 馨(いちょう・かおり)1984年(昭59)6月13日生まれ、青森県八戸市出身の34歳。姉・千春さんの影響で3歳からレスリングを始める。04年アテネから16年リオデジャネイロまで、全競技を通じ女子個人史上初の五輪4連覇を達成。世界選手権は10度優勝。16年10月に国民栄誉賞を受賞。1メートル66。ALSOK所属。
【パワハラ問題の経過】
▼1月18日 レスリング関係者が代理人を通じ、内閣府の公益認定等委員会に伊調が日本協会の栄和人強化本部長(当時)にパワーハラスメントを受けたとする告発状を提出。
▼3月1日 日本レスリング協会が「当協会が伊調選手の練習環境を不当に妨げ制限した事実はない」などと告発内容を否定。
▼同6日 日本協会が、弁護士による第三者機関を設置し、関係者への聞き取り調査を委託すると決定。
▼4月5日 第三者機関が報告書の内容を日本協会に説明。栄氏の行為の一部をパワハラと認定。
▼27日 内閣府の公益認定等委員会がパワハラ行為を認定。
▼6月8日 日本協会の理事会で、栄氏の常務理事解任の方針を固める。23日の評議員会で決定。
一言コメント
色々あったが、雨降って地固まって欲しい。
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