<ももクロ>コンサート、大勢のファン予想に近江鉄道苦悩
- 企業・経済
- 2018年4月19日
◇21、22日に東近江で 最寄り駅、普段は無人駅
人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ(ももクロ)」のコンサートが21、22日に滋賀県東近江市で開かれる。グループ出張公演の誘致に成功した市は「地域活性化につながる」と期待するが、ネックは交通事情。会場最寄り駅の近江鉄道「大学前駅」は普段、無人駅で、2日間で3万人と見込まれる来場者を全てさばくことはできない。特別ダイヤにも限界があり、同社は戦々恐々としながらファンを迎え入れる。
公演は昨年も埼玉県富士見市であり、2日間で約4万2000人が押し寄せた。知名度アップを目指す東近江市が今年の開催に名乗りを上げ、昨年末に誘致が決まった。
今年のコンサートは「ももクロ 春の一大事2018 in 東近江市」と銘打ち、会場は布引運動公園陸上競技場。ただ、周辺駐車場は原則利用できず、主催者は公共交通の利用を呼び掛けている。JR東海道線近江八幡駅との間で主催者によるシャトルバスも運行されるが、片道30分はかかると予想され、会場から約1キロとより近い大学前駅を多くのファンが利用すると想定される。
しかし、同駅は単線片面ホームの無人駅で駅舎はなく、雨よけの屋根とベンチがある程度。駅名の由来でもある、びわこ学院大に隣接するが、平日は2両編成が上下線で計約50本到着し、1日の平均乗降者数は約160人。自動改札機もなく、ICOCA(イコカ)やSuica(スイカ)などICカード乗車券も使えない。
近江鉄道に市からコンサート誘致の方針が伝えられたのは昨年10月ごろ。対応の検討を始めたが、すぐに「主たる輸送手段として使ってもらうことはできない」との結論に達した。ホームの長さから車両の編成を増やせず、車両基地の配置などで増発は30分に1本間隔が限度。1編成の定員は約260人で、輸送能力が足りないのは明らかだった。
主催者も、近江鉄道の利用は控えるよう公式ホームページで呼び掛けているが、市は少なくとも1日1000人以上は同駅を利用すると試算。同社もツイッターなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上でファンの投稿を検索しながら、利用客数の「試算」を続けている。広報担当の北原翔主任は「利用者数の想定ができない。全く使われないのはさみしいが、使ってくださいとも言えず、何と呼び掛けていいか分からない」と頭を抱えている。【成松秋穂】
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