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打倒IQOS、JT社長に聞く加熱式たばこ「反転攻勢」の中身


加熱式たばこで出遅れたJTは、9月に「プルームテック」を全国販売し、年末以降に2種類の新製品の投入で市場での巻き返しを狙う。反撃ののろしを上げたJTの寺畠正道社長が語る戦略とは――。『週刊ダイヤモンド』4月21日号の第2特集「白熱!加熱式たばこ」に掲載したインタビューのロングバージョンをお届けする。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

● 加熱式では出遅れも カテゴリーシェア40%が今の目標

――9月のプルームテック全国販売で、加熱式たばこでようやく本格的な三つどもえの戦いが始まります。

加熱式では少し出遅れた感があり、今年からしっかり反転攻勢をかける。2020年末までにカテゴリーシェア40%というのが今の目標です。

シガレット(紙巻きたばこ)市場は対前年比で10%以上減っていますが、加熱式は日本で勢いよく成長している。たばこ市場全体における加熱式のシェアは17年通期で全体の12%ぐらい、17年末では18%ぐらい。シガレット市場が縮小する中で、加熱式にしっかり参入してシェアを取っていくのは急務です。

――シェア40%は、なかなか高い目標です。

私としては十分達成可能な数字だと考えています。

一番リードしている会社(編集部注:フィリップ・モリス・インターナショナル)が、ここまで大体2年間で13%ぐらいの市場(たばこ全体)を取りました。

 で、私たちは、3年間で加熱式たばこのシェア40%と言っています。いろいろなシナリオがありますが、20年末で、加熱式たばこ市場が30%超ぐらいのシェアになるとすると、掛け算して日本市場の中で12%のシェアを取るという計算になる。つまり、競合他社が出した実績より、それでも低いわけです。

いかんせん今まではプルームテックの製造そのものが遅れていて、商品力どうのこうので負けているではなく、供給が全くなく、スタート地点にも立てていないという状況だった。

民営化して30年余り、ずっと日本でトップシェアを取ってきた。日本市場のことを一番よく理解しているのは私たち。今、生産体制の立ち上げに向けて総力を挙げているところです。

供給さえ整えば、われわれの営業力やマーケティング力、味などを考えると、12%は決して達成不可能な数字だとは思いませんね。

――なぜ、プルームテックは出遅れてしまったのですか。

一番の理由は、たばこポッド(葉タバコが詰まったカプセル)を大量生産することが、思っている以上に難しかったということ。結局、製造機械自体の設計からやり直さざるを得ない状況になってしまいました。

17年は年間48億本相当のポッドを作って販売するプランでしたが、製造機械の搬入や据え付けが大体6ヵ月ぐらい遅れてしまい、その半分しか供給できなかった。遅れを取り戻すべく、静岡の工場に、海外から60人とか80人とかが入り込んでサポートして、7日間24時間連続で工場を稼働させています。

● 高温加熱タイプの新製品投入 後発で出す以上、商品力で勝てるものを開発

――(アイコスやグローと同様の)高温加熱タイプの新製品も投入します。

他社と同じようなスティックタイプで、たばこに近い使い方のものになるでしょう。他社製品の対抗馬として出していきます。後発で出す以上、デバイスの使いやすさや味の良さ、においの少なさなど、商品力で勝てるものを開発しています。

低温加熱タイプであるプルームテックの課題は吸い応え。そこに対処するためのバージョンアップ品も投入します。高温タイプと併せて、年末から来年の頭ぐらいに発売できる状態にしていきたい。

9月から全国販売するプルームテックでスタートを切り、来年にプルームテックのバージョンアップ品と高温タイプと、“三段ロケット”で、反転攻勢をかけていきます。

――高温タイプで“勝てる”という部分は?

やはり味でしょう。私が吸い比べている中では一番いいですよ。自画自賛になってしまいますが(笑)。

高温タイプを売るということについては、ある意味プルームテックよりハードルが低いと思っているんです。すでに高温タイプの市場はありますから。むしろやらなきゃいけないのは、低温タイプの市場を一から作ること。

ずっと先の話をすると、今ある製品が最終形態だと各社思っていないですよね。携帯電話ほどの頻度でないにしろ、一定期間で色々な新製品のトライをする中で、ユーザーのシフトは起こりうる。今までのシガレットとは違うビジネスモデルやコミュニケーションをしていかないといけません。

● 20年までに加熱式たばこで 1000億円の投資

――早期投入が反撃の要ですが、新製品の年内発売はありますか?

状況次第ですね。例えばですけど、福岡とか東京ならプルームテックは前から展開しているので、新しい製品はそこから先に投入するとか、考えはいろいろあります。

 20年までに加熱式たばこで1000億円の投資をすると言っていますが、そのうち600億円が今年の分。(高温タイプの)スティックの製造機械の発注はすでに終え、今年中に据え付けが完了します。ただ、プルームテックを最初に福岡でテスト販売した際、3ヵ月分と見ていた在庫が1週間で無くなったという反省もある。その二の舞で品切れを起こさないよう、売り方などは気を付けたいですね。

また、悩ましいのは10月にある加熱式たばこなどの増税。私たちは加熱式ではフォロワーなので、プライスリーダーシップをとれる状況にはない。増税に対する他社の状況を見ながら製品投入の時期も考えていきます。

● 増税まで5年はある意味、猶予期間 3年でまずは戦えるシェアを

――増税や受動喫煙対策の強化の影響は?

受動喫煙に関しては、閣議決定されたもののまだあやふやな部分もあり、影響は読めていない。ただ、業界全てに影響があるので、シェアの意味では戦略は大きく変わりません。

増税に関しては、加熱式は5年かけて上がりますが、先が見えるというのは日本においては画期的です。増税自体は歓迎ではありませんが、将来の予見性は高まるので、プライシングやポートフォリオの組み合わせなど、打つ手の幅は広がりました。

プルームテックの税率は、今が圧倒的に低いので増税幅も大きいけれど、計算上、増税後でも他社の製品よりは低く、紙巻きからはさらに低い。これから量産化し、さまざまなコストダウン案があるので、マージン(粗利)自体は大きく痛まずに調整できると考えています。紙巻きたばことのカニバリがあっても、理屈の上では加熱式たばこでより高いマージンを取れる。なので、収益への悪影響はあまりありません。

この5年はある意味、猶予期間。3年でまずは戦えるシェアを達成するために、私自身がリーダーシップを発揮して取り組んでいきます。

 

ダイヤモンド・オンライン

 

 

 

 

一言コメント
出遅れすぎだろう。


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