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特殊詐欺に狙われるコンビニ 多様化する現金受け渡しの舞台に


平成28年に比べ、29年は特殊詐欺の被害が急増した。息子や孫をかたったり、投資会社や警察官、銀行協会をかたったりと「だまし」の新しい手口が登場する一方で、被害者から現金を受け取る手法も多様化の一途をたどっている。従来は受け取り役への手渡しや金融機関、現金自動預払機(ATM)からの振り込みが主流だったが、近年、詐欺グループが目をつけているのはコンビニエンスストアだ。プリペイドカード型の電子ギフトカードや店頭のマルチメディア端末を使って現金を受け取る手口が格段に増えており、警察当局は警戒を強めている。

■電子ギフトカード…番号を伝えさせるだけ

29年5月、静岡県島田市の40代男性に「情報サイトの閲覧履歴があり、未納料金が発生しております。本日ご連絡なき場合、法的手続きに移行します」とのメールが届いた。驚いた男性がメールに記載されていた番号に電話をかけると、「訴訟になる」などと脅されて未納代金として38万6千円を請求された。

特殊詐欺の一種「架空請求」の典型的な手口だ。男性は男らに指示されるままにコンビニに行き、50万円分の電子ギフトカードを購入、詐欺グループにカードのシリアル番号を伝えた。詐欺グループはカードそのものを手に入れなくても、番号さえ知ればモノを購入して換金したり、現金そのものに変換できる仕組みだ。

電子ギフトカードは近年、クレジットカードを使わずにインターネットを通して音楽ソフトやゲームソフトの購入、買い物などをするための手軽な手段として利用者が増えている。家電量販店やコンビニに行けば、さまざまな会社が取り扱うカードが並んでいる。

こうした架空請求詐欺は29年1~11月、警視庁が把握しているだけで601件発生し、前年から約2倍に増加。現金の受け渡し方法は、「電子ギフトカードを利用したもの」が365件と全体の6割を占め、「手渡し」が82件(13・6%)、「振り込み」が66件(11・0%)と続き、ギフトカード悪用の詐欺が主流化していることが分かる。

■マルチメディア端末も…伝票で決済

警視庁捜査2課は11月、島田市の男性に対する詐欺容疑などで、詐欺グループを摘発した。同課によると、このグループは現金をだまし取る際に、電子ギフトカードだけでなく、コンビニのマルチメディア端末も悪用していたという。

マルチメディア端末は、ローソンの「Loppi(ロッピー)」、ファミリーマートの「Fami(ファミ)ポート」などコンビニごとに異なるが、店内でATMや雑誌の棚などと並んで設置されていることが多い。電子ギフトカードと同じように、クレジットカードを使わずに、イベントのチケットやインターネット通販の代金を支払う際などに活用されている。

利用者は端末を操作して伝票を印刷し、レジで代金を支払うと決済が完了する。詐欺グループは被害者に、この決済方法で電子ギフトカードを買わせ、だまし取っていた。

警視庁によると、マルチメディア端末を使った詐欺は、28年では6件だけだったが、29年1~11月だけで50件発生。特に同年秋ごろから急増しており、30年には主流化する恐れもある。

電子ギフトカードを使う手口について、警察当局はコンビニ各社に対し、購入者にレジで声をかけたり、啓発チラシを渡したりするよう要請している。実際に店頭でだまされたことに気づいて思いとどまる被害者も出てきている。

一方、マルチメディア端末から印刷される伝票には金額が記載されている程度で、何を購入するための伝票かは店員にも分からないという。

ある捜査幹部は「電子ギフトカードへの対策が進んできたので、新しい手法としてマルチメディア端末を使うようになったのではないか」と分析している。

■対策に限界も…「地道にやっていくしかない」

警察当局は被害防止策の整備を急いでいるものの、店によっては3~5割の店員が外国人というところもあり、対策を徹底するのは難しいという。

ある捜査関係者は「利用者にとって便利なコンビニは詐欺グループにとっても便利だ。ATMも使え、現金を入れた荷物も送れ、電子ギフトカード購入やマルチメディア端末も使える。わざわざ危険を冒して会いに行かなくても、簡単に現金を回収できる」と実態を説明する。

この関係者は「店員ができることには限度があるが、できる範囲で声をかけて、あからさまに怪しければトラブルになる前に警察に通報するなど、地道にやっていくしかない」と話している。

 

産経新聞

 

 

 

一言コメント
コンビニの店員がどこまで予防ができるのか・・・?


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