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ドライブレコーダーの普及で「当たり屋」はどう変わったのか?


そろそろ年末の帰省ラッシュで「大渋滞」の様子が報道される季節、クルマを運転される方も多いのではないでしょうか。メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者で交通ジャーナリストの吉田武さんが、現役の警察官Tさんへのインタビューで裏話を明かすシリーズでは今回、ドライバーにとって厄介なクルマの「当たり屋」について暴露。Tさんいわく、「ドライブレコーダーの普及で、当たり屋も進化した」とのことですが、一体どのように変わったのでしょうか。

ドライブレコーダーの普及で「当たり屋」も変化?

吉田:チャリテロの当たり屋なんかは可愛いもんじゃないですか。関西から関東へ昭和の時代から攻め込んでくるクルマを使った当たり屋の現状ってどうなんですか?

Tさん:当たり屋問題のことですか。昔はクルマとクルマの接触事故が中心でしたが、最近はそうでもないんですよね。確かに昭和の時代から当たり屋は今に至るまで減る傾向がないのも事実です。

吉田:関西や九州のナンバープレートのクルマが走っていたら距離を置いて近づくなと、10代の頃に運送会社でバイトした時にしつこいぐらい教えられていました。当たり屋連中はサイドブレーキで急停車することからブレーキランプが点灯しないので後ろから追突してしまい、こちらの不注意として損害賠償金やら首の治療費やらをガッポリ取られると……恐ろしい教育を運送会社の先輩から聞いて、特に関西ナンバーのクルマが走っていたら、それから30年近く経った今でも警戒する癖がカラダに染み付いています(苦笑)。

Tさん:私も先輩からは昭和の時代には吉田さんがおっしゃったような当たり屋が東京へ稼ぎに来ていたエピソードは色々聞いてましたね。九州よりも関西ナンバーのほうが都内には多かったとも伺ってます。それは今でもそうなんです。

吉田:当たり屋って昭和で時が止まったままなんですか?

Tさん:現状ですと当たり屋も随分進化しているんですけどね。昔は怪文書のように運送会社さん各所にFAXで都内へ押しかけている当たり屋のナンバープレートの番号や車種を教えてくれたりしてましたが……最近の状況はどのような形で伝わっているのかは知りません。ですが、ドライブレコーダーが安価になった3、4年ぐらい前から関西からやって来る……いえ、稼ぎに来るっていうほうが正しいですね、そういうクルマでわざわざ東京へ上京する当たり屋が激減しているとの話を耳にしたことはあります。

吉田:やはりドライブレコーダーに記録されるのを当たり屋も恐れているってことなんですね。

Tさん:まさにそれですね。音声も記録されてしまいますし、クルマで当たり屋稼業をするのはそれなりにリスクを伴ってしまうんですよ。さらに他に通行するクルマもドライブレコーダーを装着していましたら、現場のクルマ同士の接触状況を第三者のカメラが記録している可能性もあります。

吉田:ああ、なるほど。そう考えたらブレーキランプを付けないサイドブレーキでの急停止なんかは、テールランプが光らない=整備不良違反扱いのも捉えられますし、状況もそのままドライブレコーダーに録画されますからリスクしかないってのが分かります(笑)。

Tさん:そこで今の当たり屋はクルマじゃないらしいんです。

吉田:”らしい”と言うのは?

Tさん:私たちは論より証拠が重要ですので、個人的意見では当たり屋との疑惑を持ちますけど、それを言葉では発することができません。

吉田:そういう意味ですか。国家公務員ですからそれは仕方がないですもんね。

Tさん:私が吉田さんとこのようなお話をしていることでさえ、通常ですと警視庁へ連絡して頂いた後に手配されてお話をするのが本来の公式なやり方ですが、絶対匿名で記事にする約束をして頂いていることで私自身が日常のフラストレーションを吐露しているようなもんですけどね(苦笑)。こんなことバレたら始末書を間違いなく書かされますよ。

吉田:それは警察官の皆さん、同じことおっしゃってます(苦笑)。僕としては現場の生の声、本音を伺いたいですし、警視庁を経由したのでは線引きされて、お話を伺ってもつまらないネタしかもらえないとの判断なんですけどね。(つづく)

image by: Shutterstock.com

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