パンダのシャンシャン訓練 「おびえさせない」最優先
- 政治・経済
- 2017年12月19日
■人気過熱、職員ら入念リハ
19日に一般公開される東京・上野動物園のジャイアントパンダ、シャンシャン(香香、雌)。同園で生まれたパンダの公開は29年ぶりで、年内の観覧の抽選には25万件近い申し込みが殺到した。同園が初めて観覧を抽選にした背景には、公開時にパンダがおびえた過去の経験とシャンシャンへの思いやりがあった。(高橋裕子)
丸太の上によじ登り、くるりと向きを変えて観覧者にお尻を見せる。高い木に登ろうと何度も挑戦しては滑り落ち、ひっくり返る。18日に関係者にお披露目されたシャンシャンはおてんばぶりを見せ、招待された小学生から「かわいい」と歓声も。白黒の体の白い部分はほんのりピンク色。母親のシンシンが体をなめて世話をすると、唾液で色がつくのだという。
上野動物園のパンダの歴史は、日中国交正常化を記念し昭和47年、中国から贈られたカンカン(雄)、ランラン(雌)のペアから始まった。55年に来園したホァンホァンが3頭を出産。第1子のチュチュ(雄)は生後まもなく死亡し、これまでに公開された同園生まれのパンダは昭和61年のトントン(雌)、63年のユウユウ(雄)の2頭となる。
過去2回の公開時にはいずれも1万人以上が詰めかけたが、来場者の期待に応えられない場面も多かった。トントンは公開初日、観覧者から見えない室内に籠もりきり。2日目に顔は出したが、カメラのフラッシュに落ち着きを失った。それを見たホァンホァンが「トントンをくわえてウロウロする興奮状態となり、その後も部屋に籠もりがちだった」(同園)。
また、63年12月に公開されたユウユウは内覧ではタイヤの上に乗って愛嬌(あいきょう)を振りまいたものの、一般公開時は室内で昼寝していた。
こうした経験から、今回は観覧客に慣れる訓練も実施。展示室のガラス越しに職員が50~60人集まり、公開時には禁止されるカメラのフラッシュや“大声”も試してきた。
シャンシャンは現在、1~3時間遊んだ後、2~3時間寝るという生活を送る。起きる時刻は一定でなく、同園は「遊ぶ姿がいつも見られるわけではないが、よく寝るのも順調に成長している証し」と理解を求める。コロコロとした子供らしい体形は親離れする生後1年半~2年ごろまで見られるという。今回、19~28日の応募件数は計24万7083件。初日の倍率は46倍に上り、最高は祝日の23日で144倍の狭き門だ。
渡部浩文副園長は「シャンシャンをおびえさせないことを最優先に準備してきた。2月以降は様子を見ながら観覧機会を増やしたい」と話している。
一言コメント
過熱報道にうんざりだ。
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