神戸ビーフ高騰やまず 輸出増などで不足慢性化
- 企業・経済
- 2017年11月21日
神戸ビーフの高騰が続いている。訪日外国人のレストラン需要や輸出の拡大で不足が慢性化しているためだ。一方、地元で市民に親しまれてきた街の精肉店では高価格のため地元客から敬遠され店頭でほとんど見られなくなっている。お歳暮商戦も販売が見通せない状況という。需給バランスが崩れる中で、JA全農兵庫の直営レストラン「神戸プレジール本店」(神戸市中央区)の神戸ビーフ偽装問題も起きた。「神戸の人が神戸ビーフのすき焼きを食べるという文化はなくなる」(精肉店)と悲壮な声も聞かれる。
神戸ビーフ肩バラすき焼き用450円(100グラム)-。神戸市長田区の精肉店「マルヤス食品」は7月に移転した新店で、神戸ビーフのサービス品を店頭に並べ続ける。「この値段では採算はとれないが、新店をアピールするため」と店主の吉田安夫さん(68)。
同店は、本物の神戸ビーフを流通させるために生産者や食肉業者、消費者らでつくる神戸肉流通推進協議会の指定店。約1年前まで神戸ビーフだけで3種類ほどを販売していたが、店が狭くなったこともあり現在は1種類のみ。「値上がりで扱えるものが減った。あと(期待できる需要)は年末の注文ぐらい」と、吉田さんの表情は厳しい。
神戸ビーフを含む但馬牛の枝肉価格は、11年度の平均約92万円から、16年度には約148万円と、5年間で1・6倍に上昇。神戸市内に約50店ある指定店でも、百貨店や老舗店を除くと神戸ビーフが全くない店も珍しくない。3、4年前から扱っていないというある店主は「肉を増やす体制ができていないのに輸出して流れがおかしくなった」と悔しさをにじませる。
一方で、外国人向けや海外での需要の伸びは著しい。輸出は12年に解禁されてから、すでに21カ国・地域に拡大。海外で同協議会が指定する神戸ビーフ販売店・レストランは、13年の14店から159店(今年7月現在)に増え、国内を含めた全体の3分の1を占める。
神戸・三宮、元町でも近年、30店ほどある同協議会指定のレストラン以外に、神戸ビーフの看板を掲げる店が急増。全体で「おそらく80軒ぐらいあるのでは」(飲食業関係者)という。
需要拡大に応えるため、兵庫県は、但馬牛を産む繁殖牛を増やす施策を強化。全国で繁殖牛の減少が進む中、県内ではこの10年で1万4800頭から1万6100頭に増えた。ただ、20年度に2万頭とする目標の達成は厳しい状況だ。
県畜産課は「生産者の高齢化や後継者不足はあるものの、繁殖雌牛を増やすための補助事業の利用が増えており、今後はもう少し上向きになるはず」と期待する。(辻本一好)
一言コメント
神戸ビーフ食べたいです。
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