「街コン」で「いい小遣いになる」と詐欺勧誘 出会いの場が犯罪の舞台に
- 詐欺・悪徳商法
- 2017年9月27日
恋人がほしい男女だけでなく、新しい友人、知人がほしいという幅広いニーズを受けて、すっかり定着した感のある街コン。普段の生活では出会えないさまざまな人と知り合えるのが魅力だが、警視庁は今月、街コンで知り合った男女を言葉巧みに勧誘し、スマートフォンなどを契約させてだまし取ったとして、無職の男を逮捕した。犯行に加担させられた男女も書類送検されており、安易な手助けには要注意だ。出会いの場に潜む詐欺師の手口を追った。
■「いい小遣いになる」
平成28年11月、都内の繁華街で開催された街コン。参加者との会話を楽しんでいた無職男性(35)に、1人の男が近付いてきた。気さくに話しかけてきた男と男性はすぐに意気投合。やがて男は男性にこう切り出した。
「携帯電話を契約してくれる人を探してほしいのです。1台につき5千円払います。いいバイトになりますよ」
男性はその後、都内の別の街コンで知り合った女性会社員(29)に「携帯電話を契約してくれたら毎月報酬がもらえるので、やってみませんか」と持ちかけた。
女性は今年1月、ドコモ、ソフトバンク、AUでiPhone5台とiPad1台(計約68万円相当)を契約し、男性を通じて男に渡す代わりに、3万円を受け取った。しかし、その後、機種の購入代金や月々の利用料金が払われることはなく、連絡も取れなくなったという。
困った女性は2月、警視庁小松川署に相談。同署は今月4日、男性と女性をそそのかし、携帯ショップからスマホなどをだまし取ったとして、詐欺容疑で、住所不定、無職の福岡徳真容疑者(30)を逮捕した。
また、同署はあわせて、自身が使わないことを知りながらスマホなどを契約したとして、男女を詐欺容疑で書類送検している。
捜査関係者は「2人は福岡容疑者にだまされたとはいえ、携帯ショップをだましたことには間違いがなく、見過ごすわけにはいかない」と話した。
■売ってぼろもうけ
手に入れたiPhoneやiPadを福岡容疑者はどうしていたのか。小松川署が足取りを追うと、ある買い取り業者が浮かんできた。
女性が契約した約68万円相当の6台は、この買い取り業者に43万5千円で引き取られていた。「いい小遣いになる」などと勧誘しておきながら、結局は自分の小遣いにしていたのだ。
捜査関係者によると、福岡容疑者は「20人ぐらいに契約させて、100台ぐらい売った」と供述しているという。
福岡容疑者は普段、都内や九州などを転々としており、捜査関係者は「あちこちで街コンに参加し、契約してくれる“カモ”を物色して回っていたのかもしれない」と話す。
実際、福岡容疑者が女性名義のiPhoneなどを売却していた業者では、福岡容疑者からiPadを計約110台買い取っていたという。この業者だけで、福岡容疑者は約860万円に上る“売り上げ”を得ていたことが明らかになった。捜査関係者は「ほかの買い取り業者を使っていたかもしれないし、どれだけ稼いでいたのか」と驚きを隠さない。
楽しく友達を増やせるはずの街コンだが、近付いてくる人間が何者なのか、冷静に見極める目が必要になりそうだ。
一言コメント
これは、だまされた方も悪い!
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