警察庁が8月3日に発表した統計資料「平成29年上半期における特殊詐欺認知・検挙状況等について」によると、プリペイドカードによる“電子マネー型”の特殊詐欺被害が増加しているという。
特殊詐欺とは「面識のない不特定の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、預貯金口座への振り込みその他の方法により、現金等をだまし取る詐欺」のこと。「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「還付金等詐欺」といった“振り込め詐欺”のほか、金融商品等取引名目の特殊詐欺、ギャンブル必勝法情報提供名目の特殊詐欺、異性との交際あっせん名目の特殊詐欺などの類型がある。
2017年上半期における特殊詐欺の認知件数(未遂を含む)は8863件で、前年同期比37.6%増。類型別の内訳は、オレオレ詐欺が3709件(前年同期比33.9%増)、架空請求詐欺が2668件(同66.2%増)、還付金等詐欺が1986件(同27.1%増)など。被害額は186.8億円で、前年同期比6.5%減だが、依然として高水準にある。類型別では、オレオレ詐欺が93.6億円(前年同期比15.8%増)、架空請求詐欺が58.4億円(同25.3%減)、還付金等詐欺が22.4億円(同18.7%増)。
被害金交付形態別では、2014年に急増した「現金手交型」は関係事業者と連携した取り組みによって減少傾向にある一方で、「キャッシュカード手交型」の認知件数が1428件で前年同期比1110%増、被害額が20.5億円で同152.3%増と、大きく増加した。また、「電子マネー型」も認知件数が1530件で前年同期比218.1%増、被害額が7.8億円で同259.6%増となっている。被害額の比較的小さい犯行が多数回行われる傾向だとしている。
なお、電子マネー型の99.4%は、有料サイト利用料金名目などの架空請求詐欺が占めているという。架空請求詐欺とは「郵便、インターネット、メール等を利用して、不特定の者に対して架空の事実を口実とした料金を請求する文書等を送付するなどして、現金を口座に振り込ませるなどの方法によりだまし取る詐欺(同種の手段・方法による恐喝を含む)事件」のこと。
警察庁では、これら多発する手口への対策として、警察官や銀行職員などを名乗ってキャッシュカードをだまし取る手口についての広報や、コンビニエンスストアと連携した電子マネー購入者への声掛けなどによる注意喚起をさらに強化していくとしている。
一方、警視庁でも、特殊詐欺の犯人が金銭の支払い形態として「プリペイドカードを購入し、カードに書いてある番号を教えろ」と指示してくる犯罪が急増しているとして、同庁サイバーセキュリティ対策本部のTwitterアカウントで「『プリペイドカード買ってきて』は詐欺を疑ってください!」と注意を呼び掛けている。
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