高齢のがん患者、標準治療難しく 厚労省、指針策定へ
- 政治・経済
- 2017年8月9日
高齢化に伴いがんになる高齢者が増える一方で、高齢患者の治療法などの研究は、これまでほとんどなされていない。厚生労働省は政府の次期がん対策推進基本計画に75歳以上の患者に対する対策など世代別の対策について初めて言及するほか、高齢者のがん治療についての指針を策定する方針だ。
がんは昭和56年から日本人の死因の第1位で、厚労省の人口動態統計によると、平成28年には約37万4千人が亡くなった。高齢のがん患者も増えているが、高齢者は持病があったり全身の状態が悪かったりして、若い世代と同じ標準的な治療が難しいことがある。また、認知症で意思決定が難しいこともあり、治療法の選択などの場面で家族や医療従事者の支援が必要となる例も多い。
一方で、がんの治療現場では、がん細胞の型を調べて適切な治療薬を選択したり、「オプジーボ」のような免疫に働きかける新しい仕組みの高額薬が保険適用になるなど、治療の個別化や高額化が進んでいる。
厚労省は今年度から始まる「がん対策推進基本計画」に、75歳以上のがん患者を対象とした臨床研究を進めることや、認知症や合併症などの病気を持つ高齢のがん患者に対する支援や治療のあり方を検討することを盛り込む。また、国立がん研究センターは高齢者の抗がん剤治療と緩和治療の有効性を調べる研究を進めており、高齢者への適切な治療法を探る動きは今後も活発化するとみられる。(道丸摩耶)
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