また大規模サイバー攻撃=世界各地で被害報告―チェルノブイリ原発も
- 国際
- 2017年6月28日
欧米やロシアなど世界各地で27日、「ランサム(身代金)ウエア」と呼ばれるコンピューターウイルスを使ったサイバー攻撃発生の報告が相次いだ。
被害が大きかったウクライナでは政府のコンピューターネットワークがまひした。チェルノブイリ原発の放射線測定システムも攻撃を受け、手動作業への切り替えに追い込まれるなど混乱が広がった。
世界各国は5月、米国家安全保障局(NSA)から盗み出されたとみられる技術を使ったサイバー攻撃にさらされ、欧州警察機関(ユーロポール)によれば150カ国以上で20万件を超える被害が出た。今回はこれに続く世界規模のサイバー攻撃の恐れがある。
AFP通信によると、ロシアの国営石油会社ロスネフチや米製薬大手メルク、英広告大手WPP、仏建材・ガラス大手サンゴバンのほか、オランダやデンマークの企業なども攻撃を受けた。ロイター通信によれば、スイス政府はインドなどでの被害発生も指摘したが、インドからは否定する声も上がっている。
ランサムウエアはコンピューター内部のファイルを暗号化して使えなくした上で「身代金」を要求する。金融機関の利用を避け、捜査機関が追跡しにくい仮想通貨ビットコインでの支払いを求める例が多い。ロイター通信は、スイス政府の情報として、今回はランサムウエアの一種「Petya」が使われた可能性があると報じた。一方、ロシアの情報セキュリティー会社カスペルスキーは「われわれの初期調査によると『Petya』の一種ではなく、これまでに確認されていない新たなランサムウエアだ」と警戒を呼び掛けた。
ウクライナでは政府や銀行のほか、首都キエフ郊外の空港や国営航空企業アントノフ、電力会社などで被害が相次いだ。グロイスマン首相は「ウクライナ史上、前例のない攻撃だ」と表明した。政府のネットワークの復旧には数日かかる見通しという。
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