初摘発された中国人“ニセ僧侶”の背後に浮かぶ養成組織
- 国際
- 2017年4月13日
数年前から東京・秋葉原などに出現し、お札や数珠を外国人観光客に売りつけていた中国人“ニセ僧侶”の1人が初めて捕まった。入管難民法違反容疑で11日、警視庁組織犯罪対策1課に逮捕された中国籍の陳先楼容疑者(54)。ニセ僧侶たちの背後には、彼らを世界中に送り出す中国本国の組織があることが分かった。
逮捕容疑は、短期滞在の在留資格で入国した今年2~3月に東京都千代田区外神田4丁目の路上で、英国人などの観光客10人に無許可でお札9枚と数珠11個を計2万円で販売した疑い。
陳容疑者は昨年4月ごろから東京都内の上野公園や秋葉原駅前などで、欧米からの外国人観光客を中心に声を掛け、寺院の写真と「寺の再建を手伝って」などと英語で書かれたカードを見せながら、お札や数珠を500~3000円で売っていた。今年2~4月で約10万円を売り上げていたとみられる。
秋葉原駅周辺などには僧侶姿でお札などを販売する中国人とみられる男らが数人おり、組対1課は組織的犯行とみて調べている。新宿、横浜などでも同様の“僧侶”が頻繁に目撃されている。
「巧妙なのは日本人と中国人の見分けがつけられない外国人観光客を狙っていること。善意の寄付と思っている人が多く、被害届が出にくい」(秋葉原の店舗関係者)
被害は日本人にも及んでいる。芸能界では南海キャンディーズの山里亮太(39)も昨年、ツイッターで被害を明かした。同様の詐欺行為は米英など各国でも確認されており、中国系あっせん業者が組織的に手引きしているという。
中国の犯罪組織に詳しい関係者は「中国南部に専門の養成組織があり、貧しい農民を中心にニセ僧侶のなり手を募集している。応募者は組織に約1万元(約16万円)を支払い、僧侶や尼の演じ方や衣装、剃髪などの指導を受ける。その後、それぞれの渡航先のビザの取得まで支援されるようです」と話す。
ニセ僧侶らは主に観光ビザで入国し、帰国後に稼いだ金の一部を組織に納めるという。「1人逮捕者が出ても次から次に送り込まれてくるでしょう」と前出の関係者はみている。
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