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「一度も盗撮されていない女性はいない?」思いもしない日常生活のトラブル回避術


自動販売機に残った釣銭を持ち去るのは窃盗罪なのに、「無断駐車おことわり」のコンビニに車を停めるのはOKってホント? 男女共用のトイレは危険がいっぱい? 思いもしないもめごとに巻き込まれないための、トラブル回避術をご紹介。

料日に賭けトランプ。2000円くらいならいいでしょ?

日本では、競馬や競輪など法律で許されている場合を除き、賭博は禁止。1998年に、タレントの蛭子能収が賭け麻雀で現行犯逮捕されたのを覚えている読者も多いのでは?

石井弁護士事務所の石井龍一弁護士によると、

「金額の大小にかかわらずトランプやゴルフなどでお金を賭ける行為は×。賭博罪で罰せられます。繰り返せば常習賭博罪となり、より厳しい処分が下されます」

“勝ったらビール1杯” というのも許されない?

「菓子やお酒など “一時の娯楽に供するもの” を賭けるのはセーフ。日常生活の範囲内であるとして違法性が認められず賭博罪は適用されません」(作花弁護士)

早起きムリ。夜のうちにゴミ、出しておこう……

「規定の日時、場所以外のゴミ出しは、指定日前夜だとしても法律違反です!」

と作花弁護士。

「『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』の中には、 “どんな人も、好き勝手にゴミを出してはいけません” という旨が盛り込まれています。身勝手なゴミ出しが続けば不法投棄とみなされ、罰せられる可能性も」

では、「当日朝8時までに」とあれば、0時をまわって日付が変わればゴミを出してもOK?

「確かに0時以降は収集日当日であり、行政・刑事面での法律違反にあたる可能性は低い。でも、例えばカラスが朝までにそのゴミをまき散らしたら周囲に迷惑がかかりますよね。やはり朝8時近くに出すことが理想でしょう」

ん? お釣りが多い?このまま黙ってもらって大丈夫!?

NO! それは立派な犯罪! ’14年にコンビニで実際の金額より多いお釣りを受け取り、そのまま去った消防司令補が逮捕された例もあるほど。

前出の清水弁護士は、

「いつ多くもらったことに気づいたかによって罪名が変わります。受け取る瞬間なら不作為の詐欺罪。その場を去った後に、あれ? と気づけば占有離脱物横領罪。気づかなかったら無罪。詐欺罪の場合は10年以下の懲役、占有離脱物横領罪は1年以下の懲役または10万円以下の罰金、または罰金より金額の少ない科料が科せられます」

ちなみに自動販売機に残った釣り銭を持ち去るのは、管理会社の専有物を奪ったとみなされ窃盗罪に。10年以下の懲役または50万円以下の罰金になるとか。

コンビニで無断駐車したら罰金に。駐車場、空いてたのに~

「買うつもりがないのにコンビニに車を止める行為は、厳密には、所有権侵害になります。ですが、罰金を払う義務はありませんよ」

と、清水弁護士。

「日本には、罰則は法律が決めるもので、個人が勝手に罰金等の罰則を定めてはいけない『罪刑法定主義』という決まりがあります。双方で契約を結び、違約金を含めた罰則を決めることはできますが、この場合、コンビニと無断駐車をした人の間には何の契約関係もありません。よって、罰金は無効となります」

同じように、よくある「〇〇をしたら罰金××円」の貼り紙も無効。請求されても払う必要はない。

「ただし、所有権侵害で損害賠償請求をされる可能性はあります。どの程度の損害があったかで金額は変わってきますが、近隣駐車場の相場の止めていた時間分くらいでしょうか。おそらく、ごくわずかな額です」

道を聞かれてムシャクシャしてたので嘘ついちゃった

「わざとウソの道を教えたのであれば、故意に相手の業務の邪魔をしようとしたとみなされ偽計業務妨害罪として刑罰の対象になり、また民事で損害賠償請求をされるおそれも出てきます」

と、前出の石井弁護士。

例えば、宅配業者にウソの案内をしたせいで相手が遠回りをして、荷物の到着が大幅に遅れたら?

「最悪の場合、宅配業者、配達人、荷物を待っていたお客の3人から訴えられることもあります。ただし、訴える側が、道を教えた人の故意を立証しなければなりません。それもまた難しいことではありますね」

「お客様は神様」だけど、イヤな客は店から追い返せる?

大盛りが魅力の人気ラーメン店『ラーメン二郎』仙台店の店主が、注文したラーメンを食べきれず残した客に対し《人生初の「2度と来ないでくださいね~?」が自然と口から出て驚く》などとツイッターに投稿。店は客を選べるか大論争が巻き起こった。

この客がもう1度来たら、店主は入店拒否できる?

前出・石井弁護士は、

「できます。店には客を選ぶ自由があるからです。ただし、人種や男女差別などで客を選別した場合は、精神的な苦痛を受けたことを理由に損害賠償を請求される可能性があります」

銭湯での「外国人お断り」などがその例。ただしタトゥーを理由に入店を断るのは「認められるでしょう。入れ墨はヤクザをイメージさせるので周りが怖がるという正当な理由があります」(前出・佐々木弁護士)

またポスターなどを貼り相手の顔を晒すのもNG。千葉県内のマクドナルドで2月、店員を暴行した男の防犯カメラ画像を店頭に貼り出し、話題を集めたけれど、法的にはダメ、絶対!

マリオカートが公道を疾走! おもしろいけど法律的にOK?

公道を楽しげに走っている、まんまスーパーマリオの群れ。最近、よく見かける光景だ。サービスを展開しているのは株式会社マリカー。貸し出している『マリカー』は、普通免許があれば誰でも乗れる普通自動車。

佐々木弁護士は、

「これに乗って公道を走ること自体は何の問題もない。マズいとしたら、著作権侵害か不正競争防止法違反。他人の創造物をまねして利益を得るという行為は著作権侵害で、他人の商品・営業と混同させるような行為は不正競争禁止法違反の可能性があります」

マリオの生みの親・任天堂は、マリカー社に対し、著名キャラクターの衣装を貸し出したうえ、許可なく営業に利用していることなどが違法だとして今年2月、損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。結果はいかに?

食べ放題の店で「残したら罰金」の貼り紙、効力あるの?

「ただ罰金と書いてあるだけなら払う必要はありません」

と、前出の佐藤弁護士。日本では、罰則は法律などによって定められるというのが大原則だからだ。

「例えば、食べ残したら “残した分の代金を追加で払う” “500円を払う” など金額が明確で、かつ貼り紙がしてあったりすれば、店に入る時点でその契約に同意したとみなされ、払う義務が発生する場合もあるでしょう。ただ、 “食べ残したら” の定義もむずかしいですよね。米ひと粒でも “残した!” と主張されたらかないませんし……」

いずれにしても、食い意地の張りすぎには要注意。

接客が最悪! グルメサイトで低評価を書き込んでやった

「場合によってはアウト」

と話すのは石井弁護士。

「おいしかった、まずかったと主観を書く程度なら表現の自由の範囲内。 “30分以上待たされた” などの事実を書くのも、公益目的の批評の範囲内なら問題ありません。

ただし、店員を口汚くののしるとか、事実無根にもかかわらず “ゴキブリが入っていた” というような虚偽の書き込みは、名誉毀損や侮辱の罪に問われる可能性もあります」

その場合、サイトの読者数など影響力の程度に応じて損害賠償が発生。

「明らかにその書き込みによって客数が半減した場合営業妨害罪で訴えられることもあるでしょう」(前出・佐々木弁護士)

電柱にのぼって熱唱♪酔っぱらってやらかしたら、なんの罪?

「これはれっきとした犯罪。電気事業法違反にあたります」

と石井弁護士。

「電柱にのぼるには、電気主任技術者の国家資格が必要だと定められており、勝手にのぼると罰せられることもあります。酔いから冷めたあとに後悔しても遅いですよ!」

原則禁煙法案で「食後の一服」ができなくなる!?

’20年の東京五輪に向け、他人のタバコの煙にさらされる受動喫煙対策を法制化しようとする動きが。厚生労働省がまとめた案では、小規模のバー、歌舞伎の舞台などを除き建物内が原則禁煙に。ちょっと一服……も難しい世の中になるの?

前出の作花弁護士は、

「喫煙室を作るにも資金やスペースが足りず、設置が難しい店もある。飲み会中や食後の一服を癒しにしている喫煙者も多いでしょうし、反発はよくわかる」

としたうえで、日本の喫煙規制の緩さを指摘。

「肺がんなどを招く受動喫煙を防ぐため、近年の五輪開催都市では屋内全面禁煙が慣例です。喫煙室内のPM2・5(微小粒子物質)の濃度は1日の環境基準の最大約20倍。ドアの開閉で煙は外に漏れるし、外で吸ってきても、喫煙者の身体についた微粒子が周りの人につくという報告もあります。今回の法案は、世界水準に日本が合わせていく、よい機会になるのでは?」

男女共用トイレは危険度100%!?

「これまでに1度も盗撮されていない女性は皆無ではと思えるほど、今の日本は盗撮天国です」と佐藤弁護士が警告する。

「カフェや居酒屋の男女共用トイレは、高い可能性で仕掛けられていると考えるべき。トイレのセンサーや空気清浄器など、まず気づかないところにカメラをつけ、下半身と顔の “ダブル撮り” が多い。ライブ会場付近のコンビニのトイレも危険。動画はネットに拡散され、裏サイトで1枚数万円で取引されることも」

日本には直接、盗撮を罰する法律がない。自治体の迷惑防止条例違反か軽犯罪法違反として扱われる場合が多く、条例の場合、鉄道や公園といった公共性の高い乗り物や場所に対象を限る自治体も少なくない。「怪しいレンズを見つけたら通報を」

<プロフィール>
◎石井法律事務所・石井龍一弁護士
不動産問題や離婚・男女問題、相続事件などを得意としている。依頼者を精神面からもサポートすることに努める。

◎作花法律事務所・作花知志弁護士
外国人事件、宇宙法、知的財産権など扱う分野は多岐にわたる。ブログでも日々のニュースや流行、芸術について独自の観点から解説。

◎法律事務所アルシエン・清水陽平弁護士
インターネットトラブルをはじめ労務問題や債権回収、男女問題など多様な案件に携わる。企業や専門家に向けての講演にも精力的。

◎旬報法律事務所・佐々木亮弁護士
パワハラ、過労死など労働問題の第一人者で日本労働弁護団常任幹事。ブラック企業被害対策弁護団では代表を務める。

◎レイ法律事務所・佐藤大和弁護士
芸能関係や恋愛トラブルを得意としメディアにも多数出演。「子どもを被害者にも加害者にもさせない」信念で法教育活動にも注力。


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